公共工事公共工事入札 公共工事入札とは?仕組み・種類・実施する流れをわかりやすく解説 2025年5月21日 この記事をシェアする 工事業務を受注する方法として、国や自治体等から「公共工事」を請けたいと考えている人も多いでしょう。しかし、どのような方法で受注できるのかわからないとお悩みではないでしょうか。 そこでこの記事では、公共工事の入札方法や仕組み、種類についてわかりやすく解説します。また、入札後の受注案件を効率よく管理する方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 公共工事の入札とは 公共工事の入札とは、国・自治体といった公共機関が発注する建設工事に、民間企業が業務を受注するために応募をする仕組みです。一般的な民間発注の工事案件とは違い、公平性と透明性を確保するために、次のようなポイントを総合して評価します。 価格 技術力 実績 例えば、国土交通省は入札契約適正化法(正式名称:公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法)のなかでは、競争性の高い入札契約方式の導入を推進しているのが特徴です。入札へ参加する企業は、適正な能力や経験、社会的信用が求められます。 まずは以下より、公共工事の入札の流れや開始〜終了の時期について見ていきましょう。 入札の基本的な流れ 公共工事の入札は、主に以下のような流れで進みます。 手順 内容 1. 公告 発注機関が入札案件を公告する (自治体HPや入札情報サービスなど) 2. 応募 企業が資格審査を経て参加を申請する 3. 入札 指定期日に見積価格や技術提案を提出する 4. 評価 価格や技術・実績をもとに評価される 5. 落札 最も評価の高い企業が落札者として決定する 6. 契約 落札者と正式に契約を締結する 単なる価格勝負だけではなく、事前準備や提案内容の質が入札結果に大きく影響します。 また誰でも入札に参加できるわけではなく、業務の種類によっては「技術士やRCCMの取得が必須であること」「類似業務の実績が必要であること」など、業務ごとに参加申請の条件がある点に注意してください。 入札の基本的な時期 公共工事の入札は、年度や地域によってある程度時期が決まっています。以下に、主な時期とその特徴をまとめました。 時期 発注の背景 発注数 4〜6月 新年度予算が確定し、発注に動き出す 多い 10〜12月 補正予算への対応として、案件が再び活発化する やや多い 1〜3月 残った予算のなかで、駆け込み発注が増える やや少ない なお近年では、業務の繁忙期が年度末(1〜3月)に集中しやすい状況を改善するために、納品時期の平準化が進められています。 出典:国土交通省「施工時期の平準化について」 基本的に入札の時期は上記の通りですが、今後、納品時期に柔軟さが出てくると予想されます。 公共工事の入札の種類一覧 公共工事における入札方式は、主に「競争性」「公平性」「発注の緊急性」といった要素で使い分けられています。それぞれ異なるルールと特徴があるので、以下にそれぞれの種類と違いを整理しました。 入札方式 特徴 活用される場面 一般競争入札 入札公告後、要件を満たすすべての企業が参加可能な入札方式であり、最も透明性が高い 多くの建設企業を競争させたいとき(小~中規模の工事) 指名競争入札 発注機関(国や自治体)が複数企業を指名し、入札を行わせる 実績や信頼性を重視したいとき 随意契約 (プロポーザル含む) 特定の1社と直接契約を結ぶ方式であり、入札とは別に例外的に用いられる 緊急性の高い災害対応や、高度専門的な工事などを実施するとき 総合評価落札方式 価格・技術・実績・提案内容など総合的に評価する 中~大規模な工事、品質や技術力が重視される案件を発注するとき デザインビルド方式 (DB方式) 設計・施工一括で発注し、技術力・統合管理力を評価する 早期完成が求められるプロジェクトや特殊案件を発注するとき ちなみに国土交通省では、単なる価格競争による入札を回避するために、総合評価落札方式を積極的に推奨しています。令和4年度の実績として、国の直轄工事では99.8%の業務で総合評価落札方式が適用されている状況です。 出典:国土技術政策総合研究所「直轄工事における総合評価落札方式等の実施状況【令和4年度実績】」 ※自治体発注の業務は上記の割合と異なります。 公共工事の入札に参加する条件一覧 公共工事の入札に参加するためには、以下に示すような法的・技術的な要件をクリアしなければなりません。 必須条件 内容 建設業許可 国土交通大臣または都道府県知事から、建設業許可を取得していること 経営事項審査(経審) 経営状況・技術力・社会性を審査し、評点(P点)を取得していること 入札参加資格審査 各発注機関(国・県・市など)が定めている資格審査を通過していること 税金・社会保険の適正納付 法人税・消費税・労働保険・社会保険などを滞納していないこと 欠格事由に該当しないこと 反社会的勢力との関係、建設業法違反の経歴、破産手続中でないこと など 参加条件は、国・自治体の入札参加資格制度で厳しく定められています。各自治体の公式Webサイトから最新の要件を確認しなければなりません。 公共工事の入札に勝つための戦略 公共工事の入札は、随意契約といった一部の例外を除き、複数の参加企業と費用や技術、実績などを競わなければなりません。そこでここでは、公共工事入札に勝つための戦略を4つまとめました。 価格戦略だけでなく技術力・実績をアピールする 公共工事の入札は「安ければ勝てる」ものではなく、次のように「適正価格&付加価値」のバランスが求められます。 過去の同種工事の実績数 有資格者(施工管理技士など)の在籍状況 環境配慮・安全管理への取り組み 入札をする際には、上記の要素のアピールを実施しましょう。 総合評価方式を活用して競争優位性を確保する 総合評価方式では「価格&技術提案」でスコアが決まるため、次のような自社の強みを提案書に落とし込むことが重要です。 工期を短縮するための提案 地元業者との連携の具体性 ICT建機やBIM/CIMなどの導入提案 災害時の即応体制の整備 国土交通省が公表する「国土交通省直轄工事における総合評価落札方式の運用ガイドライン」にも条件が記載されているため、評価項目の傾向を把握したうえで戦略を立てましょう。 自社の強みに合った案件に絞る 公共工事の入札は、すべての案件に手を出せば良いというわけではありません。採用される確率を高めるためにも、次のポイントを見ながら自社が得意とする分野や地域に絞った戦略を立てましょう。 地理的な近さ 同種工事の実績の有無 必要とされる技術・人材とのマッチング ライバル企業の動向 入札のリソースを集中して対応できることから、業務ごとにバラつきが生まれず、品質・納期・コストのバランスをとりやすくなるのが魅力です。 入札に関する情報を常にチェックし、素早く対応する 公共工事の入札では、情報収集が早ければ早いほど、案件を受注しやすくなります。例えば、以下のサイトから最新情報をキャッチしましょう。 【国】入札情報サービス 【都道府県】調達ポータル(または各自治体のポータルサイト) 【民間】入札情報提供サービス(NJSS、日刊建設工業新聞など) 情報をすばやくキャッチアップできれば、その分だけ入札の戦略を立てやすくなります。 公共工事の入札後に発生する業務課題 公共工事の入札により、無事案件を落札したら、次は以下のような業務上の課題に目を向けなければなりません。 複数案件の進捗管理が煩雑になる 担当者の割り振り検討が複雑化する 書類作成・提出物の量によって事務負担が増加する 工事写真や報告書の整理に手間がかかる 現場と事務所での情報共有が不十分になりやすい 納期がかぶりやすくなる 上記の項目をあらかじめ把握しておけば、入札すべき案件の絞り込みが可能となります。この問題を放置すると、品質や納期に影響するかもしれません。早めに業務改善の対策を検討しておきましょう。 公共工事の管理業務を効率化する建設DXツールの活用例 公共工事入札後の案件受注が複雑化しそうだとお悩みなら、DXツールを活用して受注案件の見える化に取り組むのがおすすめです。以下に管理業務を効率化できるDXツールの魅力・活用例をまとめました。 施工管理のデジタル化 DXツールを導入すれば、工事現場の工程管理や写真記録、進捗報告などをアプリで一元化し、次のような効率的な作業を実現できます。 日報・写真・打ち合わせ内容のリアルタイム共有 スマホやタブレットでの現場記録 工程の遅延や異常の自動アラート 複数の現場と事務所との情報連携がスムーズになるので、煩雑化しやすい公共工事業務の管理をシンプルにまとめられるのが魅力です。 紙ベースの管理から電子化への移行 DXツールを活用すれば、従来の紙ベースの書類管理から、電子帳票やクラウド保存に移行し、業務管理の手間・時間の削減が可能です。以下に負担軽減のポイントをまとめました。 検査提出用の書類作成を電子化できる 過去データのファイル検索・履歴確認が簡単になる 現実での保管スペースが不要となり、事務所運営コストを削減できる 受注業務が多く、社内に大量の書類が溜まっているとお悩みなら、ぜひDXツールを活用して管理を楽にしましょう。 情報やデータのクラウド共有 多くのDXツールに搭載されているクラウドサービスを活用すれば、現場ごとの情報をリアルタイムで共有できるようになります。以下に具体的な使い方を整理しました。 現場・本社間でのデータのやり取りを効率化できる 外部の協力会社や発注者との連携も円滑になる 過去の工事データを再活用できる 社内のみならず、協力会社(下請け)や発注者とのデータ共有にも活用が可能です。 公共工事の入札を成功させ、建設DXツールで業務を効率化しよう! 公共工事の入札により受注した案件を効率よく管理したいなら、データのクラウド管理に対応でき、効率よく資料や報告書の作成ができる施工管理アプリを導入するのがおすすめです。そのなかでまずはスモールスタートできるアプリをお探しなら、無料から利用できる「ミライ工事管理」を導入してみるのはいかがでしょうか。 iOSユーザーはこちら Androidユーザーはこちら ミライ工事管理は、プロジェクトごとに案件を管理でき、担当者や作業員のタスク・スケジュール管理のほか、台帳作成や進捗管理、出面、日報、点検表、報告書生成など、さまざまな機能を兼ね備えているアプリケーションです。 フリープランから利用できるほか、法人プランでは補助金申請の対象となります。費用負担を最小限に抑えながら導入をスタートできるため、まずは無料版を導入して使いやすさや業務との相性をチェックしてみてはいかがでしょうか。 この記事をシェアする ミライ工事管理の資料をダウンロード
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