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建築で言う「ネコ」とは?意味・由来・種類・用途・選び方まで初心者向けに解説

2025年12月3日
建築で言う「ネコ」 意味・由来・種類・用途

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建設現場で当たり前のように使われている「ネコ」という言葉ですが、初めて現場に入る新人や未経験者にとって、何を指す言葉なのかわからず職人とのコミュニケーショントラブルにつながるケースがよくあります。

「ネコ」という言葉を含んだ用語が、手押し車、金物などさまざまな意味を持ちます。

そこでこの記事では、建築で使われる「ネコ」の意味・由来・使い方や選び方を、実務視点でわかりやすく整理します。

建築用語「ネコ」とは?3つの意味と由来

建築用語の「ネコ」は、一般的な動物の猫とは異なり、用途・工種によって以下の3つの意味があります。

  • 手押し車の「ネコ車」
  • 鉄骨で使う「ネコ金物(アングル)」
  • 基礎で使う「ネコ土台」

現場では文脈で判断する必要があるため、まずは3種類の意味を理解していきましょう。

手押し車の「ネコ車」

建築現場で頻繁に使われる「ネコ」は、土砂や砕石、廃材、資材を運搬する一輪手押し車のことを指します。現場によっては「一輪車」と呼ばれることもありますが、建設業界では「ネコ車」という名称のほうが浸透しています。

また、名前の由来には諸説あり、逆さまにした見た目が猫のように見えるから、荷物を運んだ跡がネコの足跡のように見えたから、ほかにも、大工や左官職人が「ネコのように現場を自由に走り回っていたから」という説も語り継がれています。

(参考:横浜市ふるさと歴史財団「ためになる?豆知識」

鉄骨で使う「ネコ金物(アングル)」

鉄骨工事では、「ネコ」という用語を用いて、鋼材の補助フレームやアングル材を加工した固定部材を指す場合があります。名前の由来は、L字型のアングルがネコの足の形に似ているという説があります。また、現場によって役割が異なるため、アングル金物(ネコ材)の俗称的に呼ばれるケースがあります。

  • 溶接作業
  • 仮設支持
  • 配管支持

特に、軽量で加工性が高いL型鋼材(アングル)は、「軽い・丈夫・取り回しが良い」といった理由から採用率が高く、補修現場や小規模リフォームでも利用されます。ただし、正式なJIS規格品ではない現場加工品も多いため、用途・強度を理解したうえで使用することが重要です。
(参考:大和鋼管「メッキ鋼管用語集」

基礎で使う「ネコ土台」

木造住宅や基礎工事の現場では、「ネコ土台」という用語が使われます。

なお、ネコ土台に関しては、明確な由来が不明(資料なし)です。もしかすると、隙間に入り込む猫をイメージして名付けられたのかもしれません。

ネコ土台は地域や職人文化によって呼称が異なり、基礎と土台の間に敷く “換気パッキン / スペーサー” を指すのが通常です。

ネコ車の建築工事での使用用途(土砂・砕石・資材運搬)

ネコ車は、建設現場における短距離運搬の中心的役割を担う道具です。主に以下のような荷物を運搬します。

  • 土砂
  • 砕石
  • 建材(練り混ぜコンクリート・セメント袋・工具など)

フォークリフトやダンプでは入れない狭い通路や未整地エリアでも、人力で機動的に資材や土砂を運べるのが特徴です。狭い場所で工事を行う外構・基礎・解体・リフォームなど多様な工事現場で活用されています。

立米換算でどれくらい?積載量と重量の目安

ネコ車はさまざまなサイズ感の製品が販売されています。そのなかでも一般的な積載容量の目安は、0.05〜0.1㎥程度だと言われています。(※複数の販売メーカーを参考)

一例として、建設業でよく扱う素材の重量目安は以下の通りです。

運搬物 参考重量(目安)

単位体積重量

ネコ車1台分(0.08㎥想定)
土(密なもの) 約2.0t/㎥ 約160kg
約1.9t/㎥ 約152kg
砕石(礫) 約2.0t/㎥ 約160kg
コンクリート 約2.3t/㎥ 約184kg

出典:国土技術政策総合研究所

なお、100kg以上の荷物をひとりで運搬するのは危険です。工事中の労働災害を避けるためにも、複数人もしくは補助装置を併用したうえで運搬しましょう。

建築で用いる「ネコ車」と「一般車」の違い

ネコ車と一般的な手押しカート(ホームセンター等で見かける台車)は、次のように、形状・耐荷重・用途が異なります。

項目 ネコ車(工事用) 一般車(台車・荷車)
想定用途 土砂・砕石・建材 物品・箱・軽量資材
耐荷重 高い(〜180kgクラスもあり) 低〜中程度(20〜100kg)
走行性能 未舗装地にも対応できる
泥・段差に強い
舗装面で利用できる
凸凹・砂利に弱い
タイヤ仕様 ノーパンク・太径・空気タイヤ 樹脂キャスター・ゴムタイヤ多め
安定性 一輪だが重心調整しやすい 多輪で安定するが方向調整が弱い

ネコ車は、主に建設現場向けに設計されており、未整地・砂利・泥・段差・傾斜に強い構造です。一方で、一般車(平台車や二輪荷車)は舗装された床面での運搬を前提としています。現場環境によっては壊れやすい場合があるため、適材適所を考えて運搬車を選定しましょう。

ネコ車の種類と選び方

ネコ車は見た目が似ていても、形状・材質・タイヤによって使い勝手が変わります。以下の基準を参考に、現場条件や運搬物に合わせてネコ車を選びましょう。ネコ車は大きく分けて、浅型と深型の2種類があります。

種類 特徴 適した用途
浅型 荷台が広く、資材や袋物の運搬に向く。荷物の積み下ろしがしやすい。 セメント袋・木材・工具類
深型 ボックス形状で土砂・砕石・廃材など崩れやすい物を運びやすい。 土・砂・砕石・コンクリ残渣

特に外構・基礎工事では深型が採用される傾向が強いです。また、解体や内装現場では浅型が選ばれることが多くあります。

材質別の特徴(鉄製・樹脂製・ハイブリッド)

ネコ車の材質は、主に鉄製・樹脂製・ハイブリッドの3種類があり、選択する製品によって耐久性と取り回しが変化します。

材質 強度 重さ 特徴
鉄製 重め 最も丈夫で、業者向け
樹脂製 △〜〇 軽い DIY向けでありサビに強いが壊れやすい
ハイブリッド 中程度 両方の良い点を組み合わせた仕様

一般的に、公共工事・大型現場では鉄製が標準ですが、リフォームや戸建て現場ではハイブリッドモデルが採用されるケースもあります。また、耐久性に劣る樹脂製は、主にDIY向けとなります。

タイヤ種類(ノーパンクタイプ・空気入れタイプ)

ネコ車は、パンクの心配がない「ノーパンクタイプ」、維持管理が必要な「空気入れタイプ」の2種類があります。

タイヤ種類 メリット デメリット 向いている現場
ノーパンク パンクしない・長寿命 衝撃吸収性が低い 砕石地・荒れ地
空気入れ
(チューブ含む)
クッション性が高く重い荷物でも安定 パンクリスクあり 運搬距離が長い現場・斜面

砕石地や荒れ地などで作業をする場合には、パンクのリスクがない「ノーパンクタイプ」がおすすめです。

一方で、平地や舗装地では、クッション性のある「空気入れタイプ」が安定します。特に重量が100kgを超えるケースでは、空気入れタイプのほうが疲労を軽減しやすくなります。

ネコ車の値段相場(新品・中古・レンタル別)

ネコ車の価格は、用途・材質・タイヤ種類・メーカーによって金額に幅があります。参考として、新品・中古・レンタル別の価格の目安をまとめました。

種類 新品価格帯 中古価格帯 レンタル料金(月)
樹脂・DIY向けモデル 5,000〜10,000円 2,000〜5,000円 基本、取扱なし
標準型鉄製ネコ車 8,000〜25,000円 3,000〜12,000円 1,500〜3,000円/月
プロ仕様
(ハイブリッド・高耐荷重)
25,000〜50,000円 10,000〜25,000円 2,500〜5,000円/月

上記のなかでも建設業で使われる一般的な「標準型鉄製ネコ車」のモデルは、新品で8,000〜25,000円程度になります。また、ハイブリッド仕様や高耐荷重モデルなどグレードの高いネコ車になると50,000円程度になる製品も出てきます。

なお、予算や現場期間に応じて、中古購入・レンタルという選択肢もあります。短期現場やDIY、試験導入であればレンタルが経済的ですが、年間を通して複数の現場を回すプロ施工では新品購入がランニングコスト面で上回ります。

ネコ車を使用する際の注意点

ネコ車は便利な運搬工具ですが、扱い方を誤るとケガ・資材破損・事故につながります。特に重量物を扱う現場では、安全ルールを理解したうえで適切に使用することが重要です。参考として以下に、使用時の注意点をまとめました。

過積載で運ぶのは危険

ネコ車の積載容量は0.1㎥など高重量を運べる製品も販売されていますが、積める量=運べる量ではありません。次のように、工事現場の状況に合わせて無理なく運べる重量を設定することが重要です。

条件 推奨上限重量の目安
平坦な舗装路 〜100kg前後
未舗装・砕石地 〜60〜80kg
傾斜や段差あり 〜40〜60kg

なお、厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」および別添資料によると、人力で持ち運ぶ重量は、男性の場合は55kg以下、また女性の場合は断続的な作業を30kg、継続的な作業を20kgに抑えるのが望ましいと言われています。

固定せずに手を放すのは禁止

ネコ車は重心がひとつの車輪に集中する構造のため、荷物が偏った状態で手を離すと転倒・滑走の危険があります。特に傾斜や雨濡れ、金属床では滑りが強く、資材破損や人身事故につながるかもしれません。
そのため、「停止時は必ず壁やブロックへ接触させて固定する」「荷物を置く前に重心を確認する」「不用意に片側へ荷重を寄せない」といった安全対策を実施しましょう。

キャスター代わりの横移動は破損リスクあり

ネコ車を横方向に引きずる使い方は、フレームの歪み・タイヤ軸破損・溶接部の割れにつながりやすいため推奨されません。これはネコ車が「前後方向の負荷設計」でつくられており、横応力(ねじり荷重)に弱いためです。

特に鉄製フレームのモデルでは、小さな変形がハンドル操作の悪化につながります。重量による負荷でさらに悪化し、故障の原因にもなるため、横移動が必要な場合は、方向転換して押し直すか、台車に切り替える判断が必要です。

資材搬入・現場作業の進捗・写真記録をクラウドで効率化しよう

ネコ車の運搬だけでなく、資材搬入の管理や現場作業の工程管理、写真報告書の作成を担当している方も多いのではないでしょうか。

このとき、すべての資料作成・管理を紙ベースやExcelで対応しており、業務負担や手間を感じているなら、この機会にクラウド化をスタートしてみるのがおすすめです。

クラウドベースの工事管理アプリ「ミライ工事管理」は、スマホで写真撮影→点検入力→自社フォーマットの報告書作成を現場でワンストップ対応、さらにはクラウド共有ですばやく関係者に情報を共有できる効率化アプリです。

紙での管理や事務所への持ち帰り作業がなくなり、チーム全体の情報共有や作業効率が大幅に改善します。無料プランから導入できるので、まずは実務に合わせてアプリをダウンロードしてみてください。

 

まとめ|「ネコ」は文脈で意味が変わる建築用語

「ネコ」は、現場の状況や会話の流れによって意味が変わる建築独特の用語です。

運搬用のネコ車、鉄骨用金物としてのネコ金物、基礎部材のネコ土台など、同じ呼び名でも用途はまったく異なります。誤解したまま使うと工程ミスや発注間違いにつながるため、現場では文脈と用途を正しく理解することが重要です。

 

 

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