NETIS建設DX施工管理アプリ経営事項審査 経営事項審査(経審)とは?評価項目・点数の仕組み・申請の流れを解説 2026年1月26日 この記事をシェアする 公共工事の入札に参加するために欠かせない制度が「経営事項審査(経審)」です。建設業許可を取得している企業であれば一度は耳にしたことがあるものの、「何を評価されるのか」「点数はどう決まるのか」「評点をどう上げればよいのか」まで、正確に理解できている方も多いでしょう。 経営事項審査は、公共工事の入札に関わる建設会社を評価する制度です。評点の高低は入札参加資格や格付けに影響するため、制度の仕組みを理解したうえで戦略的に向き合うことが求められます。 本記事では、経営事項審査の基本的な定義から、評価項目、評点の仕組み、申請の流れまでを体系的に解説します。表彰歴やISO取得、若手技術者の配置など、評点アップにつながる加点要素の考え方にも触れていきます。 これから公共工事の入札を目指す建設会社の方はもちろん、すでに経審を受けているものの「点数の意味を整理したい」「次回の評点対策を考えたい」という経営者・管理担当者の方にも役立つ内容です。 経営事項審査を“よくわからない制度”から、“経営戦略の一部”として捉え直すための基礎知識を、ここから整理していきましょう。 経営事項審査(経審)とは何か 経営事項審査の目的と位置づけ 経営事項審査(経審)とは、公共工事の入札に参加する建設会社の経営力や施工能力を客観的に評価するための制度です。国や地方公共団体が発注する公共工事では、価格競争だけでなく、工事を確実に完成させるだけの体制を備えているかが重視されます。その判断材料として用いられるのが、経営事項審査です。 経審では、建設会社の状態が総合評定値という数値で示されます。この評点は、完成工事高や自己資本額といった経営規模、財務内容を評価する経営状況、技術職員数や資格保有状況を示す技術力、さらに法令遵守や社会保険加入といった社会性など、複数の評価項目から算出されます。発注者はこの数値をもとに、入札参加企業を公平に比較・判断します。 実務的に見ると、経営事項審査は「公共工事における会社の信用力を数値で示すもの」と捉えると分かりやすいでしょう。評点は一度決まれば終わりではなく、毎年の決算内容や人員体制、取り組みによって変動します。そのため、経審は単なる申請業務ではなく、経営の結果が反映される制度でもあります。 (出典) 建設業法(第27条の23) 国土交通省HP(経営事項審査) 建設業許可・入札参加資格との関係 経営事項審査を正しく理解するには、建設業許可や入札参加資格との関係性を整理しておきましょう。まず、公共工事を請け負う前提として、建設業許可を取得している必要があります。しかし、建設業許可を持っているだけでは、公共工事の入札に参加することはできません。 公共工事の入札に参加するためには、発注機関ごとに行われる「入札参加資格審査」を通過する必要があります。この際に、経営事項審査の総合評定値が重要な評価資料として使われます。一般的な流れは、「決算後に経営事項審査を受ける→総合評定値を取得する→その結果をもとに入札参加資格申請を行う」という段階です。 経営事項審査そのものが受注を決定するわけではありませんが、評点の高低によって、参加できる工事の規模や格付けが左右されます。公共工事の入札を継続的に行うためには、経審を“年に一度の作業”として捉えるのではなく、経営改善や体制整備と連動させて考えることが重要です。この点を理解することで、次章で解説する評価項目や評点の仕組みが、より実践的に見えてくるでしょう。 (出典)国土交通省 関東地方整備局 経営事項審査制度の概要について 経営事項審査で評価される主な項目 経営規模(X点)の考え方 経営事項審査における経営規模(X点)は、建設会社の事業規模を評価する指標です。主な評価対象は、工事種類別の完成工事高と自己資本額で、企業がどの程度の規模で安定的に事業を行っているかが数値として反映されます。 完成工事高は、土木一式や建築一式など業種ごとに算出され、公共工事の入札では特に重視される項目です。また、自己資本額や従業員数も評価に含まれ、会社の体力や継続性を示す要素として扱われます。一般に、受注実績が多く、自己資本が厚い企業ほどX点は高くなります。 実務上、X点は短期間で大きく改善することが難しい項目です。そのため、経営事項審査対策としては、「今すぐ上げる点数」というよりも、中長期的な受注戦略や経営計画の結果が反映される指標として捉えることが重要です。 経営状況(Y点)の考え方 経営状況(Y点)は、建設会社の財務内容や経営の健全性を評価する項目です。自己資本比率、利益率、負債比率など、決算書に基づく複数の指標が用いられ、資金繰りや収益構造の安定性が評価されます。 完成工事高が大きくても、借入依存度が高かったり、利益が不安定であったりすると、Y点は伸びにくくなります。公共工事では、工期が長期に及ぶケースも多く、発注者は施工途中で経営リスクが顕在化しないかを重視します。そのため、Y点は発注者から見た「安心材料」ともいえる指標です。 Y点は、利益率の改善や財務体質の見直しによって、比較的取り組みの成果が反映されやすい項目です。経営事項審査の評点対策を考える際には、自社の財務状況を把握し、改善余地のある部分を整理することが重要になります。 技術力・社会性等(Z点・W点)の考え方 技術力(Z点)と社会性等(W点)は、経営事項審査の中でも戦略的に点数を伸ばしやすい評価項目です。Z点では、技術職員数や保有資格、継続的な技術者配置の状況が評価されます。資格取得支援や人材育成は、評点アップに直結します。 W点では、社会保険加入状況、法令遵守、ISO認証の取得、表彰歴など、企業の社会的信頼性が評価対象となります。近年はコンプライアンスや働き方改革への対応が重視されており、社会性の取り組みが評点に与える影響は小さくありません。 Z点・W点は、経営規模や経営状況と比べて、比較的短期間で対策しやすい項目です。自社の現状を整理し、制度上評価される取り組みを理解することで、効率的な評点アップが可能になります。 (出典) 国土交通省 経営事項審査の審査基準の改正について 国土交通省 発注者別評価点の活用による資格審査マニュアル 評点(総合評定値)の仕組みを理解する 総合評定値(P点)の算出ロジック 経営事項審査の結果として示される「総合評定値(P点)」は、公共工事の入札において建設会社の総合力を示す指標です。P点は、経営規模(X点)、経営状況(Y点)、技術力(Z点)、社会性等(W点)といった評価項目をもとに算出されます。 重要なのは、P点が各項目の単純な合計ではない点です。算定式により、規模・安定性・技術力・社会性がバランスよく反映されるため、どこか一つの評価が極端に低いと、総合評定値にも影響が出ます。そのため、経営事項審査の点数対策では、自社の強みと弱みを把握し、どの項目を補強すべきかを見極めることが欠かせません。 (出典)国⼟交通省 関東地⽅整備局 総合評定値請求の手引き 評点が入札や格付けに与える影響 総合評定値(P点)は、各発注機関が行う入札参加資格審査において、企業の格付けや等級区分を決める際の基準として用いられます。P点が高いほど、参加できる公共工事の規模や金額帯が広がり、受注機会も増える傾向にあります。 一方で、P点は落札そのものを決める数値ではありません。価格競争や技術評価に進む前段階として、「入札に参加できるかどうか」を判断するための指標です。経営事項審査の評点を正しく理解することは、次章で解説する申請手続きや更新管理を考えるうえでの前提となります。 (出典)国土交通省 発注者別評価点の活用による資格審査マニュアル 経営事項審査の申請から結果公表までの流れ 決算後から審査申請までの準備 経営事項審査は、決算確定後に行う手続きです。まず、事業年度終了後に決算変更届を提出し、その内容をもとに経営事項審査の申請準備を進めます。工事経歴書や財務諸表、技術職員名簿など、評価項目に関わる書類を整理しておくことが重要です。 この段階での記載漏れや不整合は、評点に影響する可能性があります。経審を単なる申請業務と捉えず、評価対象を意識した準備が求められます。 (出典) 国土交通省 関東地方整備局 経営事項審査制度の概要について 建設業法 第11条 経営事項審査の申請と審査実施 経営事項審査の申請は、建設業許可を管轄する行政庁に対して行います。提出された書類をもとに、経営規模や経営状況、技術力、社会性等が審査され、点数として整理されます。完成工事高や技術職員数などは、特に確認が必要な項目です。 結果通知・有効期間の考え方 審査完了後、総合評定値が通知されます。経営事項審査の結果には有効期間があり、原則1年間です。公共工事への継続的な参加を考える場合、更新を前提としたスケジュール管理が欠かせません。この更新サイクルを意識することが、次章で解説する評点アップ対策にもつながります。 (出典) 国土交通省 関東地方整備局 経営事項審査制度の概要について 神奈川県ホームページ 経営事項審査(経営規模等評価・総合評定値請求) 評点アップにつながる加点要素と実務上のポイント 代表的な加点要素の考え方 経営事項審査では、一定の要件を満たすことで評点アップにつながる加点要素が設けられています。代表的な例として、国や自治体からの表彰歴、ISO認証の取得、若手技術者や継続雇用技術者の配置などがあります。これらは主に技術力(Z点)や社会性等(W点)に反映されます。 重要なのは、加点要素が一時的な対策では評価されにくい点です。制度上の要件を満たすだけでなく、日常的な体制整備や継続的な取り組みが前提となります。経営事項審査の評点アップは、結果として企業の信頼性向上にもつながります。 (出典) 国土交通省 経営事項審査の審査基準の改正について 国土交通省 発注者別評価点の活用による資格審査マニュアル 中小建設会社が意識すべき実務ポイント 中小建設会社が評点アップを目指す場合、「自社で無理なく対応できる加点要素から着実に取り組む」ことが現実的です。すべての項目を一度に整えるのではなく、取得可能な資格や人員配置の見直しなど、実務と直結する施策を選ぶことが重要です。 こうした取り組みは、評点対策にとどまらず、現場管理や業務効率の向上にも影響します。この視点は、次章で触れる公共工事における管理体制やDXの考え方にもつながっていきます。 公共工事受注後に求められる管理体制とDX 公共工事で重視される施工管理と記録 公共工事を受注した後は、施工品質だけでなく、工程管理や出来形管理、工事写真、帳票類の整備といった管理業務が重要になります。これらの記録は検査や評価の根拠となるため、正確かつ効率的な管理体制が求められます。現場管理の負荷をどう抑えるかは、公共工事を継続的に受注するうえでの課題といえるでしょう。 NETISとミライ工事管理の活用 公共工事では、NETIS登録技術を活用した取り組みが評価される場面もあります。施工段階においては、工事情報や写真、書類を一元的に管理できるツールを活用することで、業務効率の向上が期待できます。ミライ工事管理は、公共工事の現場管理を支える選択肢の一つとして活用できます。 (出典) 国土交通省 NETIS(新技術情報提供システム) 国土交通省「公共工事における新技術活用の促進」 この記事をシェアする ミライ工事管理の資料をダウンロード
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