スケルトン工事施工管理アプリ解体工事 スケルトン工事とは?内装工事との違いや流れ・費用相場(坪単価)まで初心者向けにわかりやすく解説 2025年10月10日 この記事をシェアする リフォーム・リノベーションの際に必要となる原状回復の「スケルトン工事」について、どのような工事方法なのかわからないとお悩みではないでしょうか。また、費用感や工事期間が気になっている方もいるでしょう。 そこでこの記事では、スケルトン工事の意味や特徴、内装解体との違い、費用相場(坪単価)、工事の流れ、必要な許可や注意点を、初心者向けにわかりやすく解説します。 スケルトン工事とは?意味と特徴を解説 スケルトンとは建築用語で「構造躯体」「骨組み」などの意味で、建物の柱・梁・躯体壁を残して骨組みだけになった状態のことです。 すなわち、スケルトン工事とは、「建物を骨組みだけの状態にする工事」を指します。 以下に示す屋内の建材や設備を撤去し、コンクリートや鉄骨などの躯体だけを残します。 床材 壁材 天井 給排水設備 空調 電気配線 たとえば、スケルトン工事をすることで、内装デザインをゼロから自由に設計できるようになります。そのためテナント入れ替え時などには、原状回復としてスケルトン工事が必要になるケースが多いです。 スケルトン工事と内装解体の違い スケルトン工事と混同されやすいのが「内装解体工事」です。違いを整理すると次の通りです。 項目 スケルトン工事 内装解体工事 工事範囲 コンクリートの打ちっぱなし状態にする 内部の造作のみ撤去する 主な特徴 骨組み(スケルトン)状態になる リノベーションの自由度が高い 原状回復工事にも用いられる 部分的な撤去が可能 下地を残すため工期・費用を抑えやすい 小規模リフォームに適する 費用目安(坪単価) 3〜8万円程度 1〜4万円程度 工期 数週間〜数か月 数日〜数週間 ポイントは「全撤去=スケルトン工事」「部分撤去=内装解体」というイメージです。 費用面ではスケルトン工事の方が高額ですが、自由度の高いリノベーションや完全な原状回復を求められる場合に必要な工事です。一方で、小規模な改装や設備入れ替えであれば内装解体を実施します。 スケルトン工事を選ぶシーン スケルトン工事が必要になるのは、「建物を一度リセットする必要があるとき」です。代表的な工事シーンをまとめました。 目的 概要 テナントの原状回復 賃貸契約で「スケルトン返却」が義務付けられている場合、退去時に必ず工事が必要になる。特に飲食店やオフィスでは、この条件が多い。 マンション・戸建てのリノベーション 古い間取りを一新したいとき、内装や配管をすべて取り除き、自由に設計できる状態にするために行う。 老朽化した設備の更新 水道管や電気配線が古く、安全性に不安がある場合は、部分解体よりスケルトン工事のほうがおすすめ。 新しい用途への転換 倉庫をカフェに、事務所を住宅に、といった大規模用途変更では、スケルトン工事から始めることが多い。 退去時の契約で義務付けられているケースや、古い間取り・設備を刷新したいとき、また倉庫や事務所をカフェ・住宅に変えるような大規模な用途変更のときに、スケルトン工事が選ばれます。 スケルトン工事を選ぶメリット・デメリット スケルトン工事は「建物を一度スケルトン状態に戻す」ことで大きな自由を得られる一方、費用や工期の負担が伴います。ここでは、メリットとデメリットを整理して解説します。 スケルトン工事のメリット デザインの自由度が高い 老朽化リスクを解消できる 資産価値の向上 原状回復に対応可能 スケルトン工事を選ぶメリットは「自由度の高さ」です。骨組みだけを残すことで、間取りも設備もゼロから設計できます。また、中長期的に考えると、スケルトン工事は「一度にまとめてリセット」できるのが強みです。 スケルトン工事のデメリット 費用が高い 工期が長い 廃棄物の量が多い 許可や確認が必要な場合がある 各項目からわかるように、時間・費用といったコストが発生しやすいです。解体方法の選択肢がある場合には、ほかの工事方法と比較をしつつ、慎重に検討するのが良いでしょう。 スケルトン工事の費用相場(坪単価) スケルトン工事の費用相場は、坪単価で約3〜8万円が目安です。 ただし、建物の種類や規模、撤去する範囲によって大きく変わります。ここでは、マンションや飲食店・オフィスに分けて、さらに費用相場を深掘りします。 マンションのスケルトン工事費用 マンションのフルリノベーションでは、専有部分を一度スケルトン化してから再設計するのが一般的であり、坪単価の目安は約3~6万円です。 30坪(約100㎡)を工事する場合には、90~180万円ほどの費用が発生します。なお、工事では別途、廃材処理費や電気配線・給排水管の交換費用などがかかるケースもあります。 飲食店・オフィスの工事費用 飲食店やオフィスといった、テナント退去時の原状回復工事では、契約で「スケルトン返却」が求められることが多くあります。相場としては、坪単価で約4〜8万円かかるのが一般的です。 前述の条件と同じく、30坪(約100㎡)を工事する場合には、120~240万円ほどの費用が発生します。特に飲食店はグリーストラップや排煙ダクトなどの設備が多いため、オフィスのスケルトン工事よりも費用が高額になりやすい傾向があります。 スケルトン工事の流れ(手順) スケルトン工事は、一般的に次の流れで進行します。 相談・調査 解体 廃材処理 補強 引き渡し 初期相談・現地調査(構造確認、見積り) 最初のステップは解体工事業者への相談です。 相談した解体工事業者の専門スタッフが現地を調査し、建物の構造体(柱・梁など)が残せるかを確認します。そのうえで撤去範囲を決め、概算の見積もりを提示してもらえます。 この段階で複数社に相談すれば、費用の比較検討ができて安心です。 解体工事(内装・設備を全撤去) 見積内容に了承して契約が締結したら、次に行うのが解体工事です。 床や壁、天井材に加え、電気配線や水道管、空調設備まで取り除きます。飲食店では厨房機器や排気設備も含まれるため、工期や費用が大きく変わるポイントになります。 また、騒音や振動が発生するため、近隣への配慮も大切です。 廃材処理・産業廃棄物管理 解体で出た廃材は「産業廃棄物」として処理されます。 木材・金属・コンクリートなどに分別され、リサイクル可能な資材は再利用される仕組みです。環境省の指針に従い、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行も必要です。 (参考:環境省「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について) 必要に応じて実施する補強工事・リノベーション工事 解体後に柱や梁の劣化が見つかった場合には、補強工事を行います。ここで追加費用が発生することがあるため、事前に予算に余裕をもたせておくと安心です。 その後、リノベーションを前提にしている場合は、新しい間取りや内装工事に移ります。 完成・引き渡し 最終確認を経て問題がなければ、契約条件に沿った状態で引き渡されます。 テナントの場合は「スケルトン返却」として契約が終了し、住宅ならリノベーションのための新たな工事に進む準備が整います。 スケルトン工事の目安期間 スケルトン工事にかかる期間は、建物の規模・用途・解体範囲によって変わります。参考として以下に、工事規模ごとの目安期間をまとめました。 建物タイプ 坪数の目安 工期の目安 小規模オフィス 10〜20坪 1〜2週間 飲食店 20〜40坪 2〜4週間 中規模オフィス 30〜50坪 3〜5週間 マンション(専有部) 20〜40坪 3〜6週間 大規模リノベーション 50坪以上 1〜2か月以上 設備が多い、産業廃棄物処理に手間がかかる、補強工事が必要になったという場合には、上記の目安よりも工期が伸びやすい点に注意してください。 なお「いつまでに工事を終えたいか」を事前に伝えておくと、業者側も逆算して余裕をもった工程を組んでくれます。 スケルトン工事に必要な許可・注意点 スケルトン工事は、ただ内装を壊すだけではなく、次のような法律や契約上のルールに従って進めなければなりません。 項目 内容 確認先・手続き先 建築確認申請 構造体に影響を与える場合、建築確認申請が必要。 行政窓口(市区町村の建築指導課など) 道路使用許可 工事車両や廃材コンテナを道路に設置する場合に必要。 所轄警察署 産業廃棄物処理関連 (廃棄物処理法) 解体で発生した廃材は産業廃棄物として処理。 産業廃棄物処理業者 マンション管理規約・賃貸契約 マンションの専有部やテナントで工事を行う際は、管理組合や貸主の承認が必須。 管理会社・大家・管理組合 また工事前に以下の注意点を見落とすと、工事が中断したり追加費用が発生するリスクがあります。 近隣トラブル防止(クレームのリスク) 建物の老朽化(追加費用のリスク) 契約条件の確認(再工事のリスク) トラブルを避けるためにも、信頼できる解体工事業者に相談しましょう。 スケルトン工事業者の選び方 スケルトン工事を安心して進めるためには、業者選びが重要です。工事業者を選ぶ際の確認ポイントをまとめました。 チェック項目 確認すべき内容 許可・資格 解体工事業登録の有無 建設業許可の有無 産廃処理契約 見積もり 項目ごとに明細があるか 追加料金の有無が明確化 実績 施工事例(飲食店・オフィス・住宅) 近隣対応 養生や説明、トラブル対応の経験の有無 同じ工事内容でも、業者の対応力や見積もりの透明性によって、費用・工期・仕上がりに大きな差が出ます。より良い工事業者に依頼するためにも、少なくとも3社以上を比較するのがおすすめです。 スケルトン工事はアプリで効率化しよう スケルトン工事は、解体・廃材処理・補強・引き渡しまで工程が多く、写真付きの報告書や点検表、産廃マニフェストなどの記録業務が必ず発生します。また「紙やExcelでの管理に時間を取られる」「情報共有に遅れが出る」 といった悩みを抱える現場も少なくありません。 こうした課題を解決できるのが、施工管理アプリ「ミライ工事管理」です。 スマートフォンから日報や点検表、写真付き記録を入力でき、報告書作成を現場で完結できる便利なアプリです。クラウド共有により事務所や協力会社ともリアルタイムで連携できるほか、既存のExcel帳票を自動で帳票化できるため、従来の業務フローを保ちながら効率化を目指せます。無料プランから導入できるため、小規模な現場から活用してみてはいかがでしょうか。 無料から試せますので、是非おためしください。 iOSユーザーはこちら>> Androidユーザーはこちら>> ミライ工事管理について詳しくチェックする>> この記事をシェアする
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