施工管理アプリ現場管理造作大工 造作大工の仕事とは?大工工事・内装工事との違いや必要スキル・資格まで初心者向けに解説 2025年10月9日 この記事をシェアする 家づくりの現場には、「造作大工(ぞうさくだいく)」と呼ばれる専門職がいます。普段はあまり耳にしない言葉ですが、私たちが暮らす住宅やオフィスの「住み心地」や「使いやすさ」を大きく左右する存在です。 この記事では、そんな造作大工の役割や仕事内容、必要なスキルや資格、最新のICT活用まで、初心者にもわかりやすく解説していきます。 造作大工とは?読み方と意味を紹介 造作大工(読み方:ぞうさくだいく)とは、建築工事のなかでも次の部分を専門に手がける大工職人です。 内装 仕上げ 日本の木造建築には「軸組大工(構造担当)」と「造作大工(仕上げ担当)」の2つが存在し、造作大工は軸組大工が対応した柱や梁の工事後に、ドア・窓枠・収納棚・階段・敷居など、生活空間に関わる部材をつくり上げます。 また造作大工の工事には、現場の状況に合わせて精密な寸法取りや調整を行うスキルが必要です。「手先の器用さ」と「空間全体を見渡す力」の両方が求められます。 造作大工と木工事・内装工事の違い 造作大工と木工事、内装工事について、違いが分からないとお悩みではないでしょうか。参考として以下に、それぞれの違いをまとめました。 木工事 造作大工 内装工事 担当範囲 柱・梁・床組などの構造部分 ドア・窓枠・収納棚・階段などの造作 クロス貼り・床仕上げ・塗装など 特徴 建物の強度を支える 生活の使いやすさ・美観を決定づける 見た目や仕上がり感を整える 代表的な工事例 木造住宅の骨組み 造付家具や障子・ふすま 壁紙やフローリング施工 つまり、造作大工は「建物の仕上げ部分」を担う専門職のことである一方、木工事や内装工事は工事自体の内容を表します。状況や作業内容にもよりますが、木工事や内装工事は軸組大工、その後に発生する仕上げ工事を造作大工が担当します。 造作大工の具体的な仕事内容 造作大工の仕事は「仕上げ工事」であり、軸組大工が行う木工事や内装工事と比べて、細部まで丁寧な加工と取り付けが求められます。ここでは、造作大工が担当する具体的な仕事内容を解説します。 建具(ドア・窓枠・障子・ふすま)の製作・取付 建具工事は、次のような日常で頻繁に使う部材を製作・取付する工事作業です。寸法精度や建付けの調整が求められるほか、開閉のしやすさや気密性、意匠性を意識した工事が欠かせません。 ドア 窓枠 障子 ふすま すでに形状が決まっている既製品の取付に対応することもありますが、現場状況に合わせて数mm単位での加工や調整を行うなど、繊細な調整技術も必要です。 家具(収納棚・造付家具)の製作・取付 造作大工は、次のような造付家具を製作・設置するのも仕事です。 収納棚 カウンター 本棚 市販の家具と異なり、空間の寸法や利用者の生活動線に合わせて設計するため、デッドスペースの有効活用が可能です。特に注文住宅などで工事を担当するケースが多く、リビングやキッチンに合わせて、機能性とデザイン性を両立させた家具をつくり出します。 階段や敷居などの内装木工の工事 造作大工は、次のような場所にある「段差」「角度」「踏み面」の寸法を正確に施工し、上り下りのしやすさやバリアフリー性を確保するのも仕事のひとつです。 階段 敷居 鴨居 開口部 特に敷居や鴨居は、工事による調整の品質が建具の動きを左右するため、滑らかな開閉を実現するために造作大工の技術が欠かせません。 造作大工の平均年収相場 厚生労働省が公開している「job tag」によると、造作大工を含む「大工」というカテゴリの平均年収は448.7万円(平均年齢40.6歳)です。 平均年収は19歳の段階から年々上昇し、50~54歳になる頃には平均630.6万円まで収入が増え続けると試算されています。有効求人倍率も2.47倍と高く、建築系の仕事のなかでも人気の高い職種です。 (出典:厚生労働省「職業情報提供サイト job tag(令和6年度)」) 造作大工に必要なスキル(器用さ・コミュニケーション能力) 造作大工には「手先の器用さ」と「人との調整力」の両方が欠かせません。また棟梁や他職人との連携、施主への説明・提案も多く、技術力だけでなく信頼関係を築く力が重要です。 ここでは、造作大工を目指している方向けに、働くうえで必要になるスキルを紹介します。 木材の知識(硬さ・伸縮・加工性) 造作大工は、木材を取り扱う仕事が多いため、材料となる木材の特性を深く理解する必要があります。 たとえば、スギやヒノキのように柔らかいもの、ナラやカシのように硬いものがあり、乾燥による伸縮も考慮して加工しなければなりません。樹種ごとの特徴を理解し、適材適所で使い分けることで、美観と耐久性の高い仕上げを実現できます。 精密な作業と器用さ 建具や造付家具はわずかなズレで使い勝手が大きく変わるため、造作大工には高い精密さと器用さが求められます。 1mm単位での誤差を修正する際には、鉋(かんな)や鋸(のこぎり)を用いた微調整を行うのが一般的です。また、電動工具の繊細な操作を通じて、寸法誤差を限りなくゼロに近づけます。 コミュニケーション力(棟梁・依頼主対応) 造作大工は現場での調整役を担うことが多く、棟梁や監督との打合せ、他職人との協力が不可欠です。 また依頼主の希望を聞き取り、専門的な観点から最適な提案をする力も必要になります。単なる作業者ではなく「相談できる職人」として動く必要があると覚えておきましょう。 造作大工に役立つ資格一覧(技能士・建築士系) 造作大工として働くうえで必須の資格はありませんが、スキル証明やキャリアアップのために次のような資格を取得しておくと便利です。 資格名 概要 メリット 建築大工技能士 技能検定制度(1〜3級) 技術力の客観的証明、就職有利 木造建築士 木造住宅の設計・監理資格 小規模建築の専門家として独立可 一級建築士 設計・施工監理資格 大規模建築や監理職へ進出可能 たとえば、厚生労働省の技能検定制度では「建築大工技能士(1〜3級)」が用意されており、木材加工や施工技術の能力を証明できます。 また国家資格である「建築士」や「木造建築士」は設計や監理業務までカバーできるのが魅力です。造作大工から現場監督や施工管理へステップアップしたい人に適しています 造作大工の1日の流れ(現場スケジュール例) 造作大工の仕事は、現場ごとに多少の違いはありますが、一般的に次のような流れで工事を進めます。(※あくまで目安です) 時間帯 作業内容 8:00〜8:30 現場入り・朝礼・段取り 8:30〜12:00 木材加工・建具や部材の製作 12:00〜13:00 昼休憩 13:00〜16:00 建具や家具の取付・調整 16:00〜17:00 最終確認・片付け 準備から作業、調整、片付けまで一貫して行うのが特徴です。単に仕上げ用の材料・家具などを「取り付ける」だけでなく、現場ごとに異なる条件に合わせて調整や加工を繰り返すため、高い集中力と段取り力が求められます。 造作大工の現場を効率化するICT活用 近年の建築現場では、造作大工の仕事にもICT(情報通信技術)が導入され、作業効率や品質管理の向上につながっています。以下に、工事に役立つICT技術の例を紹介します。 レーザー墨出し・CAD連携などのデジタル技術活用 造作大工の工事では、レーザー墨出し機を使うことで、施工に欠かせない寸分の誤差をなくせます。従来は職人が手作業で測量し、正確な寸法を確認しながら進める必要がありました。しかしレーザー墨出し機を活用すれば、ズレをその場で「目に見える形」で確認できるため、効率的かつ確実な施工が可能です。 さらに近年は、3Dスキャン技術も普及してきました。現場写真を組み合わせて3Dモデルを生成し、CADデータと照合することで、施工誤差を最小限に抑えることができます。こういったICT技術の効果で、従来以上に精密で高品質な工事が実現できるようになっています。 写真・動画のクラウド共有を使った施工記録の効率化 造作大工の現場では、施工の進捗や仕上がりを写真・動画で記録するのが一般的です。これまでは紙の報告書やUSBでのデータ受け渡しが主流でしたが、近年はクラウドサービスを活用することで大きく効率化が進んでいます。 たとえば、その場で撮影した写真や動画をスマホやタブレットから即時アップロードでき、現場と事務所、施主や設計者との間で同時に情報を確認できます。これにより「いつ撮ったか」「どの工程か」が明確になり、報告や検査もスピーディーに進められます。 さらに、データはクラウド上で自動整理されるため、過去の記録を検索・比較するのも容易です。 現場での報告・記録を効率化するならアプリがおすすめ 造作大工は、建具や家具、階段などの「仕上げ」を担う専門職です。細かな木材加工や現場に合わせた造作を行うため、正確さと柔軟な対応力が求められます。 しかし、その技術力を発揮する一方で、日報・点検表・写真付き報告書といった記録業務が職人や現場監督の大きな負担になっています。 こうした課題を解決できるのが、ミライ工事です。 スマホひとつで報告書の作成・写真の添付・クラウド共有まで完結でき、現場のDX化を強力にサポートします。無料から試せますので是非お試しください。 ミライ工事について詳しくチェックする>> この記事をシェアする ミライ工事管理の詳細はこちら
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