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既存不適格建築物とは?違法建築との違い・増築や改修で失敗しない実務ポイントを解説

2026年2月5日

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既存不適格建築物とは、法令の改正によって適法だったものが現行基準に合わなくなる状況のことを指します。ただしこれは、不適格=即アウト(違法)とはなりません。

しかし、正しく理解せずに建築物の改修・用途変更を行うと、確認申請が通らない・想定外の是正工事が発生するといった実務トラブルにつながります。

そこでこの記事では、既存不適格建築物の基本的な考え方から、違法建築との違い、改修時に注意すべきポイントまでを、実務者向けに整理して解説します。

既存不適格建築物とは?

既存不適格建築物とは、「建築当時は適法だったものの、法改正や都市計画変更によって、現在の基準に合わなくなった建物」のことを指します。そして重要なのは、原則として違法建築ではないという点です。

建築基準法は、次のように社会情勢・災害・技術進歩に応じて何度も改正されており、そのたびに「建てた当時はOK→今の基準ではNG」という状態が生まれます。

  • 1981年における新耐震基準の導入
  • 2000年以降の防火・避難・内装制限の強化
  • 用途地域・容積率・道路指定の見直し

これらの改正ごとに「当時は適法、現在は基準外」という建物が生まれます。すべてを違法とすると社会的影響が大きいため、一定条件下で使用が認められています。

ただし、増築・大規模改修・用途変更などを行う場合は、現行基準への適合を求められる可能性がある点には注意が必要です。

(参考:国土交通省「既存不適格建築物について」

【重要】既存不適格建築物と「遡及適用」の考え方

建築基準法は原則として、遡及適用(過去の時点にさかのぼっての適用)されません。つまり、法改正後の基準が、既存のすべての建築物に自動的に適用されるわけではないという考え方です。

この原則により、既存不適格建築物は直ちに違法とはならず、使用を継続できます。ただし、一定規模以上の改修・増築・用途変更を行う場合は例外となり、工事内容に応じて現行基準への適合が求められます。

よって重要なのは、「法改正そのもの」ではなく「何をするか」で適用範囲が変わる点です。遡及適用の有無は、工事計画次第で判断されるため、事前に情報を整理しておきましょう。

違法建築物との違い

既存不適格建築物と違法建築物は、混同されやすいものの、法的な扱いと実務リスクはまったく異なります。最大の違いは、「建築時点で法令を守っていたかどうか」です。ここでは、建築業従事者が理解しておきたい2つの建築物の違いを解説します。

既存不適格建築物と違法建築物の決定的な違い

建築基準法は、原則として建築時点の法令が適用されます。そのため、以下の条件を満たしていれば、後の法改正で基準に合わなくなっても直ちに違法とはなりません。

  • 建築確認を取得している
  • 完了検査を受けている
  • 当時の法令に適合していた

一方、建築当初から法令に違反している建物や、無確認増築・確認内容と異なる施工が行われた建物は、違法建築物に該当します。

観点 既存不適格 違法建築
建築当時 適法 違反
現在の扱い 使用継続可 是正・指導対象
行政対応 原則指導なし 是正命令・罰則あり
改修時 内容により適合必要 原則すべて是正必要

2つの違いを混同すると、不要な全面是正や確認申請のやり直し、逆に重大な法違反の見落としにつながるため注意が必要です。

建築物が既存不適格になるのはいつ?

既存不適格になるのは、建物が老朽化したときではなく、法令や都市計画が変更されたときです。建物自体に変更がなくても、外部要因で既存不適格になることがあります。

1981年(新耐震)以前の建物が多い理由

既存不適格建築物で最も多いのが、1981年(昭和56年)以前に建てられた建物です。この年から、「旧耐震基準」から、「新耐震基準」へ切り替わりました。これにより、1981年以前の建築物は、現行基準には適合しない既存不適格となります。改修・増築工事を受注する際には、何年に建てられた建築物なのかをチェックしましょう。

用途地域・容積率変更で発生するケース

既存不適格は、用途地域や容積率の変更によって生じるケースもあります。たとえば、都市計画の見直しにより、以下の変更が起きた場合、建物自体を一切変更していなくても、数値上は基準超過になるのが特徴です。

  • 容積率が引き下げられた
  • 用途地域が変更された
  • 防火・準防火地域に指定された

もちろん建築物を使用し続けること自体は可能ですが、改修・増築・用途変更を行う際には、現行基準への適合(是正)を求められる可能性があるため注意が必要です。

知らないうちに既存不適格になる例

改修・造成工事を受注するとき、特に注意したいのが、オーナーや管理者が気づかないまま既存不適格になっている次のようなケースです。

  • 前面道路の再測定により、接道条件が不足した
  • 2項道路扱いとなり、セットバック未対応だった
    (建築基準法第42条第2項)
  • 排煙・避難・内装制限の基準が変更された

これらは、行政から事前通知が出ることはほとんどなく、確認申請・売却・大規模改修のタイミングで初めて指摘されます。そのため、工事計画の初期段階で、現行法との不適合がないかを整理しておくことが重要です。

建築基準法ベースで既存不適格になりやすいポイント

実務で、特に既存不適格として指摘されやすいのが、容積率・防火・避難・接道・昇降機の4分野です。

容積率・建ぺい率オーバー

建築基準法の改正で特に多いのが、容積率・建ぺい率が現行基準を超過して既存不適格になるケースです。たとえば建築当時、容積率と建ぺい率が適法だったとしても、用途地域の変更や都市計画の見直しが行われると、現在の上限値が引き下げられることもあります。

この場合、建物をそのまま使用することは可能ですが、増築・床面積が増える改修を行うと、原則として是正対象になります。改修工事では、「面積が増えるかどうか」が最初のチェックポイントです。

防火・避難規定(排煙・階段・内装制限)

防火・避難規定は、既存不適格が発生しやすく、かつ是正コストが大きくなりやすい分野です。特に次の規定は、現行法とのギャップが生じやすくなっています。

  • 排煙設備の設置基準
  • 直通階段・避難階段の幅・配置
  • 内装制限(仕上げ材の制限)

これらは、用途変更(住宅→事務所・店舗など)を行った際に適用対象となることが多く、「軽微な改修のつもりが、大規模是正になる」といったケースも珍しくありません。用途を変える予定がある場合は、防火・避難規定を最優先で確認しましょう。

なお、用途変更は「100㎡を超えるかどうか」で建築確認の要否が分かれますが、100㎡以下であっても、防火・避難・内装制限などの技術基準が適用される点には注意が必要です。そのため「100㎡未満だから問題ない」と判断して工事を進めると、後から是正指導や計画変更を求められるケースもあります。

接道義務・道路幅員

接道義務に関する既存不適格も、実務では頻繁に問題になります。代表的なのが次のケースです。

  • 前面道路が建築基準法上の道路に該当しなくなった
  • 道路幅員の再測定により、4m未満だった
  • 2項道路扱いとなり、セットバックが未対応だった

これらは、建物自体に変更がなくても発生します。そのため、建て替え・増築・用途変更を行う際に、初めて建築不可・計画変更を求められることがあります。改修工事の初期段階で、前面道路の種別と幅員を必ず確認しましょう。

エレベーター・昇降機(既存不適格エレベーター)

エレベーターや小荷物専用昇降機も、既存不適格になりやすい設備のひとつです。古い昇降機の場合、以下の装置などが、現行の建築基準法・告示・JIS基準に適合していないことがあります。

  • 戸開走行防止装置
  • かご・釣合いおもりの安全装置
  • 非常停止装置

通常使用しているだけでは問題にならなくても、建物全体の改修や用途変更を行うと、昇降機も含めた是正を求められるケースがあります。昇降機がある建物(マンションなど)は、建築基準法だけでなく、昇降機検査・保守記録も含めて確認することが重要です。

既存不適格建築物はそのまま使える?改修・増築が必要?

既存不適格建築物かどうかを判断する際、実務で重要なのは「現状維持か、建築行為を伴うか」という切り分けです。結論として、現状のまま使用するだけであれば、原則として行政手続きや是正対応は発生しません。一方で、増築・大規模改修・用途変更など建築行為に該当する工事を行う場合は、工事範囲だけでなく、既存部分を含めた法適合性が確認対象となります。

※特に、床面積が増える増築、用途変更、主要構造部に影響する改修は、建築確認申請や現行基準への是正が必要になる代表的なケースです。

そのため、工事計画の初期段階で「どこまでが現状維持で、どこからが建築行為になるのか」を整理しておくことが、計画変更や想定外の是正工事を防ぐうえで欠かせません。

既存不適格建築物のデメリットと対策【施工者向け】

既存不適格建築物の工事を行う施工者は、工事内容によって法適合確認の範囲が変わり、計画が不安定になりやすいというデメリットに注意が必要です。

特に現場では、次のような問題が起こりやすく、是正範囲の食い違いや手戻り、説明不足によるトラブルにつながります。

  • 既存不適格の判断経緯(現況調査・不適合箇所)が共有されない
    ※既存不適格調書や現況整理資料が残っていないケースも多い
  • 図面・写真・点検記録が分散する
  • 協力会社や施主との認識にズレが生じる

対策として重要なのは、着工前に既存不適格の「範囲」と「影響」を切り分けることです。建築行為に該当するかの整理だけでなく、是正対象になりやすい法規(容積率・防火・接道など)を確認し、行政との事前協議を行いましょう。

特に、特定行政庁や建築指導課との事前協議が必要になるケースも多いため、判断経緯や調査結果を整理したうえで計画を進めることが重要です。

既存不適格建物の改修工事をアプリで一元化しよう

既存不適格建築物の改修工事では、調査記録・写真・是正判断・説明資料など、多くの情報管理が必要になります。これらが分散すると、説明不足や手戻りの原因になります。そして、こうした課題の整理・軽減につながるのが、施工管理と報告業務を一元化できるミライ工事管理です。

ミライ工事管理を使えば、既存不適格に関する調査内容・現場写真・点検表・報告書を、プロジェクト(台帳)単位でまとめて管理できます。既存不適格建築物の改修工事では、工事品質だけでなく、情報と記録をどう管理するかが重要なポイントであるため、まずはミライ工事管理の無料プランを利用し、担当者の負担を減らせるか検討してみましょう。

ミライ工事管理について詳しくはこちら

まとめ|既存不適格建築物を正しく判別するために

既存不適格建築物は、建築時点は適法であっても、法改正や都市計画の変更によって現行基準に合わなくなった建物のことを指します。

そして、既存不適格建築物の工事を担当する方は、「違法かどうか」ではなく、改修や用途変更時にどこまで法適合が求められるかを正しく見極めることです。着工後の手戻りを防ぐためにも、早い段階で調査内容・判断根拠・是正対応を整理し、記録を残せる体制を整えたうえで計画を進めましょう。

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