作業員名簿施工管理アプリ現場管理 作業員名簿とは?建設現場で必要な理由と書き方・テンプレート・管理方法を建設業向けに徹底解説 2025年10月9日 この記事をシェアする 「作業員名簿」という言葉を聞くと、多くの方が「ただの名簿でしょ?」と感じるかもしれません。しかし建設現場では、この書類が安全や信頼を守る大きな役割を担っています。 そこでこの記事では、「作業員名簿って何?」という基本から、法的な根拠、記載例やテンプレート、効率的な管理方法まで、建設業従事者向けにわかりやすく解説します。 作業員名簿とは?建設現場での重要性・法的根拠 作業員名簿とは、現場で働く作業員一人ひとりの基本情報をまとめたリストです。 令和2年10月1日の建設業法改正以降、工事業務での作成が義務付けられており、作業員の名前や住所のほか、健康診断の有無や資格の種類(玉掛け・足場作業主任者など)を記載します。 (出典:国土交通省「施工体制台帳、施工体系図等」) 一見「管理が大変そう」と思うかもしれませんが、この名簿があることで次のようなメリットを得られます。 健康診断結果を把握していれば、持病や体調に応じて配慮できる 法律で定められた有資格者が、現場に確実にいることを証明できる 事故や災害時に、すぐに連絡できる体制を整えられる 作業員名簿は、現場の安全性を維持する、そしてトラブル時にすぐに動けるようにするために欠かせないアイテムです。はじめて作成する方は、本記事で紹介している作り方をチェックしてみてください。 作業員名簿と施工体制台帳・再下請負通知書の違い 作業員名簿について、「ほかにも似たような書類がいろいろあって混乱する」という声もよく聞きます。 たしかに「施工体制台帳」「再下請負通知書」など、建設現場では複数の資料を揃えなければなりません。参考として以下に、各書類の違いをまとめました。 書類名 主な内容 提出先 作業員名簿 作業員の基本情報・資格・健康診断結果 一次下請会社から元請会社 施工体制台帳 元請〜下請の企業関係や工事内容 発注者へ提出 再下請負通知書 下請が再下請に発注した内容・金額・工事範囲 上位の元請会社または一次下請業者 要するに、作業員名簿=「人」、施工体制台帳=「会社・契約」、再下請負通知書=「契約承認」というすみ分けです。実際の現場では上記をセットで準備することが多いため、混同しないように注意してください。 作業員名簿の記載項目一覧【全建統一様式第5号対応】 作業員名簿は、「欄外部分」と「欄内部分」に分かれており、それぞれに記載すべき情報が細かく定められています。以下は、全建統一様式第5号に基づく具体的な項目の整理です。 欄外部分(現場・会社情報) 欄外部分は、「どの現場で・どの会社が・いつ作成したか」を明確に示すエリアです。主に以下項目を記入します。 作成年月日 元請確認欄(署名・押印) 事業所の名称・現場ID 所長名 提出日(年/月/日) 一次会社名・事業者ID 二次会社名(必要に応じて) なお記入する際には、工事名称・発注者名を契約書の正式表記と統一することが大切です。また、所長名は現場代理人や監理技術者の署名を求められるケースもあるため、事前に確認したうえで記入しましょう。 欄内部分(作業員ごとの情報) 欄内部分は、実際に現場に入場する一人ひとりの詳細情報を記載するエリアです。安全衛生の確保・資格確認・緊急時対応に直結するため、漏れや誤記に注意しながら次の情報を記入していきましょう。 区分 記載内容 基本情報 番号/ふりがな/氏名/年齢/生年月日/住所/職種/技能者ID 保険関連 健康保険/年金保険/雇用保険 退職金制度 建退共/中退共の加入有無 教育・資格 雇入時教育/職長教育/技能講習/国家資格/免許 労務管理 入場年月日/退場年月日/受入教育実施年月日 なお、記入の抜け・漏れがあると、トラブル時に名簿が役立ちません。もしもの場合に備えて、関係者一同に記入を指示しておきましょう。 作業員名簿の記入例と書き方 実際に作業員名簿を作ろうとすると、「どこまで書けばいいのか」「記載漏れがないか」が心配になる方も多いでしょう。ここでは、全建統一様式第5号をベースにした記入例を紹介しながら、注意点を整理します。 氏名・生年月日・年齢は正確に書く → 住民票ベースの表記がおすすめ 資格・教育欄は修了年月日まで明記 → 年月日の記載なしだと監督官庁チェックをスルーできない 入場日・退場日を管理 → 工期が長い現場では人員の入れ替わりが多いため、随時更新する 緊急連絡先の準備 → 名簿自体に書かない場合でも、別紙で管理する なお、建設業振興基金が公開している「建設キャリアアップシステムについて」というPDF書類に、書類の記入例が掲載されています。本記事の情報に合わせて、確認しておくと安心です。 (参考:建設業振興基金「建設キャリアアップシステムについて」p.13) 作業員名簿のテンプレートとダウンロード方法 「1から表を作るのは大変…」と感じる方のために、建設業界ではすでに標準化されたフォーマットが用意されています。その代表例が国土交通省で公開されている全建統一様式第5号です。 作業員名簿のルール(建設業法施行規則)にもとづいて作成されたエクセルデータであるため、そのまま業務に流用できます。以下にダウンロード手順をまとめました。 公式サイトのダウンロードページにアクセスする 【ダウンロード(エクセルファイル)はこちら】をクリックする 指定の場所にデータを保存する なお、必要項目が網羅されている場合には、自作することも可能です。 作業員名簿の管理方法とチェックポイント 作業員名簿は作成して終わりではなく、その後の運用と管理が大切です。 せっかく作業員名簿を作成したものの、「古い情報のまま放置していた」「資格証の有効期限が切れていた」といった理由で、監督官庁の検査や元請からの指摘を受けるケースも少なくありません。 そこで、今後の運用を効率化するために以下に管理のチェックポイントをまとめました。 最新の受診日が記載されているか 資格の有効期限が切れていないか 健康保険・年金保険・雇用保険に加入できているか 入場者リストと名簿が一致しているか 最新の電話番号か 発注者へ提出済みか 作業員名簿の提出先と運用手順 手順 担当 内容 1 下請企業 自社の作業員情報を正確に入力し、資格証・健康診断の写しを添付する 2 元請企業 提出された名簿を確認・承認し、発注者提出用に取りまとめる 3 発注者(官公庁・施主) 公共工事では契約時・着工前に必須。民間工事でも元請から依頼されるケースがある 4 元請・下請 提出後も随時更新。新規入場・退場のたびに修正。控えを両社で保管する 作業員名簿の効率的な作成・管理方法 作業員名簿は、紙に出力して手作業で作成・更新することも可能です。しかし、記入や管理に時間がかかるほか、情報の抜けや重複といったリスクもつきまといます。 そこでおすすめなのが、作業員名簿をデータとしてクラウド管理する方法です。ここでは、従来の方法とデジタル管理の違いを比較し、効率的に運用する方法を紹介します。 紙・エクセル・PDFでの手入力の限界 まず従来の方法として、多くの企業がエクセルやPDFを使って作業員名簿を管理しています。小規模現場であれば問題ありませんが、現場数や作業員が増えると以下の課題が浮かびあがります。 新規入場・退場のたびに紙やシートを編集 誰が最新のファイルを持っているかわからなくなる 資格有効期限や保険加入状況の更新漏れ PDF化・印刷して署名押印が手間 小さなミスひとつが、残業時間の増加や工期の遅れにつながります。再提出を指示されないためにも、効率よく管理することが重要です。 作業員名簿作成アプリ・クラウドシステムが便利 近年は、建設DXの取り組みにより、作業員名簿をデジタル上で効率よく管理できるアプリやクラウドサービスが登場しています。以下に、アプリやシステムの特徴を整理しました。 関係者間で共有できる「クラウド管理機能」 作業員ごとの情報をすぐに見つけられる「検索・フィルタ機能」 入力・更新情報がわかる「通知・アラート機能」 提出を効率化する「電子署名・承認機能」 エクセルベースでデータを入力・編集できる「エクセル連携機能」 クラウドを通じて関係者一同と連携することで、現場と事務所でリアルタイム共有が可能となります。移動の手間や管理の手間を削減するためにも、この機会にアプリ導入といった建設DX化に取り組んでみてはいかがでしょうか。 出面管理やアドレス帳機能なら施工管理アプリも活用しよう 作業員名簿は単なる提出用の書類ではなく、安全衛生管理や労務管理の土台として現場運営に欠かせない存在です。しかし、「名簿を紙やエクセルで更新するのが手間」「作業員の資格・健康診断の期限切れをよく見落とす」とお悩みの方も多いでしょう。 そこでおすすめなのが、施工管理アプリの「ミライ工事管理」です。ミライ工事なら、作業員名簿のクラウド化に対応できるほか、出面管理や関係者のアドレス帳もまとめて管理可能です。 スマホ1台であらゆる工事管理を効率化できるため、クラウドベースの施工管理アプリをお探しなら、無料から利用できるミライ工事管理をダウンロードしてみてはいかがでしょうか。 無料から試せますので、おためしください。 iOSユーザーはこちら>> Androidユーザーはこちら>> ミライ工事について詳しくチェックする>> この記事をシェアする ミライ工事管理の詳細はこちら
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