導入事例 ルールも端末もバラバラだった現場が、なぜここまで整ったのか|大規模プロジェクトで見えた、施工管理アプリ活用のリアル - 中央開発株式会社 2025年6月16日 #101~500名#地盤コンサルタント この記事をシェアする 複数の企業が協力し合う共同企業体の大規模プロジェクトでは、現場写真の撮り方から提出書類の形式までさまざまなズレが生じやすい。 地中の“見えない”世界を読み解き、洋上風力向けの海域地盤調査の最前線を担う中央開発株式会社もプロジェクト内の事務的なズレによる非効率さに直面していた。 ミライ工事を利用し、スマホ1台での撮影・整理・共有が可能になったことで、写真管理と現場での事務作業の質はどう変わったのか?実際の運用現場の声から、その効果について伺いました。 業界の基礎を築いた、地質調査のパイオニア企業 ―まずは御社の事業内容について教えてください。 弊社は中央開発株式会社と言いまして「建設コンサルタント」として、主に公共インフラ -例えば道路、橋、ダム、河川堤防といった大規模な構造物に対して、調査や設計、計画を行う事業を展開しております。ゼネコンや工務店が実際に構造物を建てる工程を担うのに対し、弊社はその前段階「どこに・何を・どう作るか」といった検討や調査を行っていくことが仕事です。 例えば、2024年に発生した能登半島地震では、鉄筋コンクリート造の7階建てのビルが転倒し、近隣の店舗を押しつぶす被害が発生しニュースになりました。これは「基礎」と呼ばれるビルの下部構造に課題があったためと言われています。 分かりやすく言い換えてみましょう。ペットボトルやサインペンのような細長いものをお盆の上に立てて揺らすと、簡単に倒れてしまいますよね?ビルのような高い建物や構造物でも、これと同じ現象が発生します。 そこで、災害が発生した際に構造物が倒れないようにするために「杭」を打ち、安定した地盤で支える必要があります。杭を打つのに適した地層(支持層と言われます)がどこに存在するのか、どの程度の地震に耐えられるかなど、土や地下水などを調査・解析するのが我々の仕事の一つです。 ―地質調査のパイオニアとしての歴史もあると伺いました。 ありがとうございます。弊社は日本で初めて地質調査を事業として行った会社でもあります。「標準貫入試験」という、土木の一般的な試験手法があるのですが、この手法を日本に導入して広めたのも弊社です。 ―他社にはない御社の強みとは、どのような点ですか? 弊社の最大の強みは「海上ボーリング調査」です。近年、再生可能エネルギーへの注目が 高まり、その中でも洋上風力発電への期待が高まっています。風車を海の上に設置するためには海底の地盤状況を把握する必要があるのですが、水深30メートル以上の深い海域になると、対応できる手法がかなり限られてきます。 弊社では「傾動自在型試錐工法」という独自技術の特許を持っており、水深50メートル級の海域でも比較的低コストで調査できるのが強みです。 一般的に海底の調査を行う際には大型の調査船を使う必要が出てきますが、当然コストが跳ね上がります。 そこで弊社独自の工法を用いることで、コストを抑えることができるのです。コストと調査可能な水域の広さ、どちらの点でも他社より優位だと考えています。 バラバラだった“現場のルール”を一つに ―今回、ミライ工事を導入された背景を教えてください。 今回、ミライ工事を導入させていただいたプロジェクトは、弊社単独ではなく、4社が合同で行うプロジェクトでした。そのため、金額的にも大きく調査範囲も広いということもあり、関係者の間で「いかに効率良く現場写真を撮って整理するか」が最初から大きな課題になっていました。各社で写真の撮り方やルールが異なると、最終的に提出する写真の整理が大変になります。そのため、効率良く整理できる仕組みが必要だと考えたのが、導入のきっかけです。 ―確かに企業が違えば、写真の撮り方やルールもバラバラになりますよね。 そうですね。たとえば黒板にチョークで書く文字一つとっても微妙に表記が異なると、見栄えが悪くなりますし、どの会社がどのような写真を撮るのか、それぞれルールが異なると撮影に抜けが出てきて大きな問題に発展してしまいます。最初から表記や撮影のルールを統一することで、そのような抜け漏れを防ぐことができると考えました。 ―その中でミライ工事を選んだ理由はどこにあるのでしょうか。 いくつか理由はありますが、まずは使いやすさです。他社製品をいくつか試用しましたが、ミライ工事がシンプルで直感的で操作性に優れていたということが挙げられます。また、他の理由として、ミライ工事はマルチデバイス対応で使えたことも大きいです。会社によってiPhoneやAndroidといった異なる端末を使っていたこともあり、それらに対応できるアプリがミライ工事だったのです。また、協力会社にアカウントを簡単に発行することができ、撮影権限を渡せるという点も大きな魅力でした。 写真1,000枚の整理が、現場で完結する ―実際にミライ工事を導入して写真管理の効率が劇的に上がったと伺っておりますが、導入前の写真管理はどのように行っていたのでしょうか? 従来は、デジカメで撮った写真をSDカードに保存して、事務所に戻ってからPCで1枚ずつ整理を行なっていました。撮り漏れがないかをしっかりと確認するため、時間を確保する必要があり後回しの作業になりがちでしたね。 ―1枚ずつ整理していくとなると、手間も時間もかなりかかりますね。 そうですね。特に今回のような大型案件になると写真の枚数は1,000枚をゆうに超えてきますから、従来の方法で作業していると、写真整理だけで何時間もかかってしまうのです。 ミライ工事では撮影後すぐにクラウドにアップロードできるため「どの写真が撮れているか、撮れていないか」のチェックがその場でできるわけですから、本当に効率的だと感じています。実際、現場から事務所に戻ってからの手間が格段に減りました。 ―撮り忘れが発生すると、業務に大きな影響が出るケースもあるのでしょうか? ありますね。今はデジカメで確認できるようになってきたので早い段階で気づくことが可能になってきましたが、それでも現場が進行している中で、撮り忘れに気づいて戻るとなると、相当なコストがかかるケースが想定されます。 気づいた時に工事が進行していたら、協力会社に再び依頼して機械を再設置してもらって再撮影…最悪のケースですがそのような事態にも繋がりかねません。そのようなリスクを考えると、早い段階で写真を確認・修正できる仕組みは本当にありがたいです。 ―それはすごいコストがかかってしまいますね。ちなみに撮影以外での機能はどうでしょうか?点検表機能もご活用いただいているとお伺いしました。現場でどのように運用されているのでしょうか? 今回の現場では「作業前の機械点検」これを紙ではなくデジタルで行うという前提がありました。これまでは1週間分の紙の点検表を渡し、毎日チェックしていたのですが、実際に紙での運用となると雨で濡れたり、手が汚れていると紙も汚れたりと使いづらい面が多かったのです。 そのため、ミライ工事の点検表の機能を利用する流れになりました。実際の運用成果として、現在は紙を使わずデジタルで完結できております。項目もカスタマイズ可能で柔軟に設定できる、特にこの辺りは非常に便利だと感じますね。 例えばある項目に「テキストを入力」別の項目に「◯×△で評価」など、項目ごとに設定ができるため、現場運用として使いやすいです。内容さえ理解していれば、すぐにカスタマイズでき使いこなすことができるので大変便利な機能です。 ―黒板機能についてはいかがでしょうか。 「MY黒板」も同様に大いに利用しております。よく使う文言を事前に登録しておくことが可能なため、こちらは写真の撮り忘れ防止につながっています。 また従来のアナログの黒板ですと海や雨の影響でチョークで書いた黒板の文字が消えてしまうことがよくありましたが、今ではスマホ上で黒板を表示できるため、そういったリスクもなくなりました。沖縄の海の上ですから天候も変わりやすいので、大変助かっています。 ―環境的に厳しい現場になるとアナログの黒板は確かに大変そうですね。 はい。これは海上の作業だけでなく、整備されていない山間部の場合も同様です。アナログの場合、カメラ、黒板、チョーク……と多くの荷物を持ち歩くことになり、厳しい環境下の現場では心身ともに負担になります。これらがスマホ1台で済むというのは、物理的にも心理的にも、とても身軽になれますからとても助かりますね。 “使い方の設計”も業務の一部。現場で定着させた工夫 ―今回は4社合同のプロジェクトだったとのことですが、新しいシステムを導入する際に現場の混乱などはありませんでしたか? 特に大きな混乱はありませんでした。もちろん最初に現場職員向けに使い方のマニュアルを用意 して、写真の保存ルールなども説明しました。たとえば「この作業ならこのフォルダへ」といった マッピングも作成して、現場で迷わないようにしたことでスムーズに導入することができたと思います。 ―システムを導入するだけではなく、どう使うかルールを決めて共有することが鍵だったんですね。 そうですね。もしこのシステムがなかったら、「じゃあ各社さん、写真は各自のやり方で集めてくださいね」となっていたはずです。そうなると結局、撮り方も保存形式もバラバラになって、後で一つにまとめるのが大変になります。 ですから先にルールをシステムの中に落とし込むことで、統一させました。正直な話、自由度の高い方法よりも、ある程度「このやり方で」と枠があった方が、結果的にみんなやりやすいのです。システムの仕様に合わせて動くことでトラブルが減ったと思います。 ―最後に、今回ミライ工事を利用してみて、他の現場でも使っていきたいというお気持ちはありますか? そうですね、今回のような大規模な合同業務はもちろんですが、他の現場でも効果的な運用が可能だと感じます。実際、今回の運用で現場としてもミライ工事が使いやすく効率的に業務ができると実感できたのは非常に大きいです。 写真の取り忘れや作業記録の手間といった、これまで“仕方ない”とされてきた課題を解決できる手段としては有効だと感じております。今後も積極的に活用させていただき、業務効率化に繋げていけたらと考えております。 ―ありがとうございました! この記事をシェアする ミライ工事管理の詳細はこちら
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