工種工種管理建設 工種とは?建設業の基本から分類・管理方法・種別の違いまでを徹底解説 2025年9月22日 この記事をシェアする 建設業で頻出する「工種」という用語の意味や工事業務での位置づけにお悩みではないでしょうか。 この記事では、工種の概要や設定されている階層の情報をわかりやすく解説します。また、工種管理を実施するメリットや必要性も紹介しているので、工種の全容を知る参考にしてみてください。 目次 工種とは?|建設業における工種の定義と役割 建設業における工種の分類と具体例 工種管理が建設業で重要な理由とその背景 工種別管理による建設現場の効率化メリット ミライ工事管理で実現する工種別施工管理の方法 工種の理解と管理による建設業務のDXと効率化 工種とは?|建設業における工種の定義と役割 建設業における「工種」とは、建設工事を構成する作業内容や施工分野を分類したものを指します。次のような「〇〇工」とつくのが主な工種です。 土工 鉄筋工 型枠工 左官工 一般的に「工種 → 種別 → 細別」という構造をもつことが多く、公共工事などでは国土交通省が工種の内容を明確に定義した「工事工種体系ツリー」を公開しており、工種はそのなかで説明されている階層の上位(レベル2)に該当します。 ここからは、工種の基本的な考え方を順を追って解説します。 ▲目次に戻る 工種・種別・細別の違い 「工種」「種別」「細別」は、管理や契約に欠かせない分類階層です。違いは以下のとおりです。 レベル 名称 内容例 2 工種 鉄筋工、型枠工、左官工など 3 種別 主鉄筋/補助鉄筋など 4 細別 使用鉄筋径・本数・施工数量など このように「工種→種別→細別」の関係性を理解しておくことで、管理や契約処理を円滑に進められます。見積書や工程管理で混乱を招く恐れがあるため、混同しないように注意してください。 ▲目次に戻る 作業内容・作業単位の違い 「作業内容」と「作業単位」は混同されがちですが、次のように明確な違いがあります。 用語 概要 具体例 作業内容 実際に行う作業の種類・内容 型枠組立、コンクリート打設、鉄筋組立など 作業単位 作業を区切る数量・契約単位 m²、m³、本、時間など まず、作業内容は「何をやるか」の中身に関する記述です。現場の工程表や職人への指示書に多く用いられます。一方で、作業単位は「どれだけやるか」という数量を測る基準であり、それぞれ原価管理・契約・積算に直結します。 ▲目次に戻る 工程・作業の違い 建設現場では、よく「工程」「作業」という言葉が使われています。こちらも工種に関連する用語であり、次のような違いがあります。 比較項目 工程 作業 定義 建設工事における時間的区分 現場で行う具体的な施工内容 管理対象 スケジュール・段取り 作業者・道具・施工手順 表示例 ガントチャート、WBS 作業指示書、日報、作業標準書 例 鉄筋工事:1週間 D13鉄筋の配筋、結束 「工程=時間」「作業=内容」と理解すれば、誰が・何を・いつ実施するかを明確に共有できます。 ▲目次に戻る 建設業における工種の分類と具体例 複数の階層に分けられているレベル2階層の工種には、多くの分類が存在しています。 また土木業務・建築業務によって用いる工種にも違いがあることから、以下より具体的な位置づけを解説します。 建設業法における工種分類【29業種】 「工種」を理解するには、建設業法で定める29業種分類が基本です。これは国土交通省が建設業許可の基準として定めた制度です。 以下に、主な対象業種を整理しました。 種類 工事内容の概要(抜粋) 土木一式工事 土木構造物の建設(造成・道路など) 建築一式工事 建築物の新築・増改築・修繕など 大工工事 木材の加工・取付け 左官工事 モルタル・コンクリ仕上げ 鉄筋工事 鉄筋の組立・結束 管工事 給排水・空調・ガス管の配管 電気工事 電気設備の配線・接続 ※他の業種について、詳しくは国土交通省「建設業許可の業種区分」をチェック これらの29業種は、建設業許可の取得や公共工事の入札参加に直結する重要な分類です。 ▲目次に戻る 工種区分と工種内容一覧表【国土交通省】 建設業法に基づく28業種の分類は、国土交通省によってさらに細分化され「工種区分」「種別」「細別」などの階層で体系的に整理されています。これを明文化したのが以下に示す「工種内容一覧表(工事分類表)」です。 レベル 名称 内容 0 事業区分 予算制度上および事業執行上の区分を中心とした区分 1 工事区分 工事発注ロットおよび発注者を考慮してレベル0を分割したもの 2 工種 レベル1を構成する要素のうちで、一定の構造を持つ部位を施工するための一連作業の総称 3 種別 体系全体の見通しをよくするため、レベル2とレベル4をつなぐレベル区分 4 細別 工事を構成する基本的な単位目的の物もしくは単位仮設物であって、単位とともに契約数量を表示するレベル 5 規格 レベル4を構成する材料等の客観的な材質・規格ならびに契約上明示する条件等 6 積算要素 レベル4の価格算定上の構成要素であって、基本的には契約上明示しないもの 引用:国土技術政策総合研究所「体系階層(レベル)の定義」 上記の体系があることで、発注者・施工者・元請・下請の間で発生しやすい数量・金額・品質のズレを防止できます。 ▲目次に戻る 土木・建築で代表的な工種一覧 建設業では、土木工事系と建築工事系で使われる工種に違いがあります。以下に、業界ごとのメイン工種をまとめました。 【土木系の代表的な工種】 工種名 主な作業内容 土工 掘削、埋戻し、整地、造成など 型枠工 型枠の組立・解体(擁壁や橋脚など) 鉄筋工 鉄筋の加工・配筋・結束 舗装工 アスファルト舗装、路盤工など 構造物工 コンクリート構造物の築造、橋梁工など 【建築系の代表的な工種】 工種名 主な作業内容 大工工 木造建築の加工・取付 左官工 内外装のモルタル・仕上げ タイル工 床・壁へのタイル張り 電気工 照明・配線・電気設備の取付 設備工(管工事) 給排水・空調・衛生設備の配管 土木系は地面に近い部分の工事やコンクリート関連の工事に関わる工種が多いです。対して、建築系は、住宅に関わる工種やエクステリア関連の工種が多い傾向にあります。 ▲目次に戻る 工種管理が建設業で重要な理由とその背景 工種を理解し管理することで、現場業務をより効率的に進められます。主な理由を紹介します。 【理由1】原価管理が正確になる|工種別集計でコストを可視化 工種単位で原価を管理していない場合、利益確保・赤字工事の回避が難しくなります。なぜなら、現場全体の工事原価を細かく把握できていないと、どこに無駄があるのか見えないためです。 たとえば、工種別で原価を集計することにより、次のコスト構造が明確になり、赤字工種を早期に発見できるようになります。 材料費 労務費 外注費 原価管理の精度は、最終的な利益を左右するため「どの工種で、どれだけのコストが発生しているか」を可視化することが、コスト増加を防ぐために欠かせません。 ▲目次に戻る 【理由2】日報記録の精度が上がる|業務報告の標準化に貢献 日報の精度が低いと、原価・工程・人員の把握が困難になります。これを改善するのが「工種別日報記録」です。 たとえば、工種単位で日報を記録することにより、誰が・いつ・どの工種を・どれだけ作業したかを明確に管理でき、業務報告が標準化されます。その結果として、次のような管理状況を構築できるのが魅力です。 工種ごとに作業時間・内容・出来高を記録することで、現場の進捗管理や請求・支払い管理が正確になる 記録基準が明確になることで、属人化を防ぎ、記録ミスや曖昧な表現が減る 「今日、誰が何をどれだけやったのか」を正確に記録できなければ管理ミスが発生しやすくなるため、日報記録の精度が低い場合には、標準化に力を入れることが重要です。 ▲目次に戻る 【理由3】人員配置と工程管理を連動できる 工種別に人員を配置することで、工程表と連動した進捗管理ができ、遅延や人員不足を未然に防げます。 まず、工程表は「いつ」「何をやるか」が書かれた時間軸の計画ですが、そこに対応する「誰がやるか」が明確でないと、実行力のある工程管理ができません。対して、工種ごとにスケジュール・タスク管理を実施すれば、誰が何をやっているのかが明確化します。 工種別に管理すればリスクを予測・回避しやすくなり、曖昧な全体把握よりも実行力のある対応が可能です。 ▲目次に戻る 工種別管理による建設現場の効率化メリット 工種ごとに作業や人員を管理することで、見えにくかった現場の実態が可視化され、業務効率も向上します。 代表的な2つのメリットをまとめました。 進捗管理を効率化できる 工種単位で進捗状況を管理することにより「今、どこまで作業が進んでいるか?」を的確に把握できるようになります。 たとえば、全体工程のなかで「どの工種が何%進んでいるか」を把握できれば、遅延やリソース不足を早期に発見できます。進捗管理は“工種別”で見るからこそ、正確で具体的な調整判断ができるため、工種別で細分化した管理をスタートしてみてはいかがでしょうか。 ▲目次に戻る 報告・集計業務の一元化 報告・集計を工種単位で整理すれば、作業ごとの実績把握が容易になり、帳票作成や日報集計作業の負担が大幅に軽減されます。 特に「誰が、いつ、どの工種で、どれだけの作業を行ったか」をまとめて管理することで、現場の実績報告を自動化・省力化できるのが魅力です。 集計業務を標準化すれば、現場と事務所間の情報連携がスムーズになり、業務全体の効率が高まります。 ▲目次に戻る ミライ工事管理で実現する工種別施工管理の方法 建設工事の工種を含め、効率的かつ詳細な「タスク・スケジュール管理」「台帳作成」「出面・日報管理」などを実施したい人におすすめなのが、施工全般の管理に役立つアプリ「ミライ工事管理」です。 iOSユーザーはこちら Androidユーザーはこちら ミライ工事管理では、工程・人員・原価・日報を工種ごとにクラウドで一元管理できます。 これまで煩雑だった複数業務を一元化できるほか、紙やExcelといったアナログな管理から脱却できるアプリですので、まずは無料プランを利用してみてはいかがでしょうか。補助金の対象となるため、有料版についても費用を抑えながら利用できます。 ミライ工事管理について詳しくチェックする ▲目次に戻る 工種の理解と管理による建設業務のDXと効率化 建設現場の課題は「人手不足」「原価の見えづらさ」「工程の非効率」など多岐にわたりますが、各課題に共通して対応できるのが、工種を軸とした管理手法の導入です。 工種を理解し、正しく管理できれば、建設現場全体の業務効率化・利益確保・品質安定に直結します。今後のDX推進においても、工種管理は避けて通れない重要なファクターですので、一元管理ができる施工管理アプリの導入は、業務の効率化に大きく役立ちます。 ▲目次に戻る ミライ工事管理の公式サイトはこちら この記事をシェアする
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