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【建設業向け】熱中症チェックシートの作り方|2025年義務化対応と現場活用ガイド

2025年8月19日

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35℃を超えることが当たり前になった夏の建設現場では、わずかな油断が命取りになる危険もあります。

この問題の対策として、厚生労働省では2025年6月1日から「熱中症対策の強化」についてのルールが施行されました。

そこでこの記事では、義務化対応に沿った「熱中症チェックシート」の作り方、現場での活用例・運用手順・症状の見分け方・フォーマット作成のポイントまで建設業向けにわかりやすく解説します。

2025年6月1日から「職場の熱中症対策」が義務化しました

2025年6月1日、厚生労働省から「職場における熱中症対策の強化」に関するルールが整備されました。

このルールは、WBGT(湿球黒球温度)28度 or 気温31℃以上、そして継続して1時間以上 or 1日当たり4時間を超える作業について、以下の対策を周知・準備(チェックシートの作成等)しておくというものです。

  • 作業からの離脱
  • 身体の冷却
  • 必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
  • 事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等

なお当ルールは厚生労働省が定めている「労働安全衛生規則の一部改正」にもとづくものです。このように、単なる注意喚起にとどまらず、検・記録・共有を含む包括的対策が求められています。

建設現場で熱中症が起きやすい理由

建設業界では、毎年のように熱中症による災害が報告されています。

出典:国土交通省 建設現場における熱中症対策事例集

ではなぜ、建設業で熱中症が起きやすいのでしょうか。以下に、主な理由をまとめました。

リスク要因 内容 特筆すべき点
高温多湿な作業環境 ・アスファルトや鉄骨からの輻射熱を受ける
・気密性の高い室内作業が多い
暑さ指数(WBGT)が高くなりやすい
日陰の少ない屋外作業 ・屋根上、足場、道路舗装などで日差しを遮れない 直射日光による体温上昇・脱水が進行
体力を消耗する重作業 ・長時間の資材運搬や解体作業、重機操作がある 発汗量の増加→体液喪失→集中力低下

たとえば30℃を超える屋外で、重量資材を運ぶ作業が続けば、本人が自覚するよりも早く体温は上昇し、脱水症状に陥る可能性があります。

なかでも7〜9月にかけての猛暑期は、日常業務そのものがリスク要因となるケースが多いことから、現場特性に応じた予防管理が不可欠です。

熱中症チェックシートの作り方と運用の流れ【建設現場向け】

建設現場での熱中症対策は、「やっているつもり」では済まされません。

特に2025年から熱中症対策が義務化された今、見える形で管理・予防することが必要です。そこで重要となるのが「熱中症チェックシート」です。

ここでは、建設現場で実践しやすいチェックシート作成の手順を、5つステップにわけて紹介します。

【STEP1】シート作成の基本方針を決める

熱中症チェックシートを作成する際、最初にやるべきなのが「何を目的に、誰のためにチェックするのか」という基本方針を明確にすることです。

この段階があいまいなままだと、チェックが現場に合わず形骸化する恐れがあります。参考として以下に、基本方針のポイントを整理しました。

ポイント 内容 ケース
作業場所の種類 屋外・屋内・高所・舗装現場など ・舗装工事(屋外・アスファルト面)
・高所作業(屋根上・足場上)
作業者の属性 年齢・経験年数・体調に不安のある人の有無 ・60代以上の職人が主力の塗装チーム
・外国人技能実習生が含まれる型枠工事班
作業内容の強度 重作業・軽作業・連続作業時間の有無 ・連続4時間の連携作業(躯体打設など)

・鉄筋組立(立ち作業・高重量部材の運搬)

このように、「現場ごとの事情」を反映させることで、実効性のある熱中症管理につながります。

【STEP2】チェック項目を設定する

基本方針が決まったら、次に「何をチェックすべきか」という項目を設定しましょう。

この工程が不十分だと、異常の兆候を見逃してしまい、最悪の場合には重大事故に発展するリスクもあります。以下に、建設現場向けのチェック項目を整理しました。

分類 チェック内容 備考
作業者の体調状態 眠気・だるさ・頭痛・発汗異常・体温 朝礼時や作業開始前に確認(本人申告+観察)
環境の状況 WBGT・気温・湿度・日射の有無・風通し 作業場にて1日2回以上測定(デジタル計可)
行動の変化 言動の遅れ・ぼんやり・反応鈍化・顔色 管理者・班長の目視確認が効果的
医療歴・既往症 高血圧・糖尿病・心疾患・過去の熱中症歴 プライバシー配慮のうえ記録(暗号化推奨)

また、症状のレベルに応じた対応の内容をまとめておくことも重要です。

レベル 主な症状 現場での対応目安
軽度 立ちくらみ/筋肉のけいれん/軽い頭痛 作業中断→日陰で休憩+水分補給+様子観察
中等度 強い倦怠感/吐き気/頭痛/集中力低下 医務室/救護所で冷却+看護師連絡推奨
重度 意識障害/けいれん/40℃前後の体温 救急要請→AED/搬送準備+記録保存

※参考:厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について(パンフレット)」

なおチェック項目があっても、作業員が申告をためらうケースもあります。ダブルチェックのためにも、作業員に記入させて終わり、ではなく管理者側が主体となってチェックしていくことが重要です。

【STEP3】記録用フォーマットを用意する

熱中症対策を現場に定着させる際に大切なのが「記録用フォーマット」の整備です。

どれだけ良い項目でも、記入しづらければ運用は続きません。参考として、記録用フォーマットの種類ごとのメリット・デメリットを整理しました。

フォーマット形式 メリット デメリット
紙のチェックシート ・準備が簡単ですぐに運用可能

・電源不要

・年配の職人にも馴染みやすい

・集計や保存が手間

・紛失・記入漏れのリスクあり

・保管場所が必要

ホワイトボード方式 ・班単位での可視化に優れる

・現場で共有しやすい

・簡単に更新できる

・個人情報の記載に不向き

・雨天や風で消える可能性あり

・記録の保存ができない

スマホ・タブレット入力(アプリ等) ・自動集計やデータ保存が可能

・異常値の即時検出や通知が可能

・クラウドで拠点横断管理も可能

・導入や設定に時間とコストがかかる

・ITリテラシーの差が出やすい

・電波や電源環境に依存する

上記のうち、チェックや報告の効率化を図りたいなら、アプリを用いた管理がおすすめです。

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【STEP4】チェック結果をもとに対応・記録管理を行う

せっかく熱中症チェックを行っても、「確認だけで終わってしまう」現場では対策の意味が半減します。本当に重要なのは、チェック結果をもとに迅速な対応を取り、適切に記録を残すことです。

以下に対応と記録管理の流れを整理しました。

  • 「顔が赤い・返答が遅い」などの異常サインを班長が発見
  • 日陰へ誘導し、冷却タオルと経口補水液で体を冷やす
  • チェックシートに「10:30 熱感・倦怠感あり、冷却対応実施」と記入
  • 症状が続くため、管理者が救急車を手配し医療機関へ搬送依頼
  • 翌朝の朝礼で「昨日の事例と初期対応」について共有・注意喚起

記録は事故後の責任所在を守る「防御」です。紙でもデジタルでも必ず残すようにしましょう。

【STEP5】週次・月次で集計・共有する(任意)

熱中症対策は「その場で終わり」にしてしまうと、同じミスが繰り返されてしまうため、チェック結果を集計・分析し、組織全体で共有しましょう。

「なんとなく体調悪そうだったけど…」というあいまいな情報を、数字と記録で補強することで、現場の安全対策の属人化を防止し、熱中症ゼロ・事故ゼロの現場づくりに直結します。

現場での熱中症チェックの実例

国土交通省が公開している「建設現場における熱中症対策事例集」では、次のような熱中症対策の事例が公開されています。

  • 職長による聞き取り
  • 尿の色味で判断できるチェックシートを共有
  • 朝礼時に熱中症対策グッズの確認を取る(KY活動)
  • 作業員全員に熱中症警戒アラーム付きの携帯を所持させる

出典:国土交通省「建設現場における熱中症対策事例集」

これらの事例からわかるように、建設現場における熱中症対策は「単なる水分補給」や「休憩所の設置」だけでは不十分です。

作業員の自覚・職長による観察・チームでの共有・ツールの活用といった、多面的なアプローチが求められます。

熱中症チェック業務を効率化しよう!スマホ入力×クラウド管理

熱中症対策は命を守る重要な取り組みである一方、紙の記録や手作業の集計は負担が大きく、継続が難しいという声も多く聞かれます。

特に複数現場や班ごとの運用では、記録の漏れ・保存忘れ・報告の遅れが起きやすく、対策の質を下げてしまうことも少なくありません。

ミライ工事管理を用いれば、スマホにインストールするだけで、すぐに熱中症チェックシートや関係書類のクラウド管理が可能となります。熱中症対策に取り組みたいなら、まずは無料プランから利用してみてはいかがでしょうか。

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