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鳶職とは?仕事内容・種類・資格・大工との違いを施工管理者向けにわかりやすく解説

2025年9月5日

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建設現場に欠かせない専門職として、高所での作業や足場の組立・解体、鉄骨建方などを担う「鳶職(とびしょく)」があります。

この記事では、鳶職の仕事の概要や、大工との違い、資格、年収、さらには施工管理者が知っておきたい現場効率化のポイントまでわかりやすく解説します。

建設現場で足場を組み立てる鳶職人。高所作業を行う専門職で、鉄骨建方や重量物の設置などを担当する。鳶職は建設業界の花形とされ、江戸時代から続く伝統的な職業。

鳶職とは?

鳶職(とびしょく)とは、建設現場において高所作業を中心に、次のような工事業務を専門とする職人のことです。

  • 足場の組立・解体
  • 鉄骨建方(組立)
  • 重量物の設置

建設業界の“花形”と言われており、政府統計局によると、鳶職を含む事業の建設業就業者数は、約12万9,900名だと言われています。(建設業全体が約214万500名であるため、約6%が鳶職)

参考:政府統計の総合窓口e-Stat「建設工事受注動態統計調査 建設工事施工統計調査(2019)

なお、鳶職という名称は、江戸時代に火消しや建築現場で活躍した職人集団が「鳶のように高く舞い上がる」姿から名付けられたそうです。また現代では、建設技術の向上に伴い、高所作業を中心とする「建設従事者」として認知されています。

大工や足場屋との違い

鳶職と混同されやすいのが「大工」や「足場屋」です。以下に、役割や専門分野の違いを整理しました。

職種 主な仕事内容 得意分野
鳶職 足場の組立・解体、鉄骨建方、重量物据付 高所作業、危険作業の安全管理
大工 木材を用いた建築物の骨組み・造作工事 住宅の骨組み、内装工事
足場屋 足場材を提供・施工する専門業者 足場組立に特化

鳶職は高所作業を幅広く担う総合職である一方、大工は木工、足場屋は足場工事に特化しており、役割が明確に異なります。

たとえばビル建設の場合、まず鳶職や足場屋が足場を組み立て、安全を確保したうえで大工が木造部分の工事を行います。さらに、鉄骨建方や重量物の搬入を鳶職が担当することから、現場工事を支える中心的存在だと言えるでしょう。

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鳶職の種類とそれぞれの専門性

鳶職と一口に言っても、仕事内容や求められる技術が分野によって異なります。

ここでは代表的な4種類を紹介します。

足場鳶|仮設足場の組立・解体

足場鳶は、建設作業員が安全に作業できるように仮設足場を設置・撤去する専門職です。住宅から高層ビルまで幅広い現場で活躍しており、現場の安全基盤をつくる役割を担います。

【足場鳶の特徴】

  • ハーネスや安全帯を常用し、落下防止を徹底する
  • 工期や現場の規模に応じた足場設計が必要になる
  • 労働安全衛生規則にもとづき、有資格者が監督する

足場鳶は仮設足場の組立・解体を専門とし、安全帯を使用して高所作業の安全を確保する。建設現場では労働安全衛生規則に基づき、有資格者の監督のもとで作業が行われる。

鉄骨鳶|鉄骨建方の鳶

鉄骨鳶は、ビルや商業施設などの鉄骨建方を担当する職人です。建物の骨組みを組み上げるため、現場の進行スピードと安全性を左右します。

【鉄骨鳶の特徴】

  • クレーン作業との連携が必須になる
  • 高精度な玉掛け技術が必要である
  • 強風や天候の影響を受けやすいため安全管理が重要になる

重量鳶|重量機器の据付・撤去

重量鳶は、工場の大型機械や空調設備など、数トン規模の重量物を搬入・設置する専門職です。重量物を正確に設置しなければならないため、高い技術力とリスク管理が求められます。

【重量鳶の特徴】

  • 移動式クレーンやフォークリフトを駆使して工事を進行する
  • ミリ単位での設置精度が必要になる
  • 解体撤去では資材搬出の段取りも担当する

その他(橋梁鳶・送電鳶など)

近年は工事の多様化に伴い、特殊分野に特化した鳶職も増えています。

  • 橋梁鳶
    橋梁建設の足場や鉄骨を担当し、長大橋や高速道路工事で活躍する
  • 送電鳶
    鉄塔や送電線を架設するなど、電力インフラを支える専門職である
  • プラント鳶
    化学工場や発電所など、大型プラントの建設・メンテナンスを担当する

なお上記の鳶は、従来の鳶技能に加えて、特殊な資格や高度な安全教育が必要とされます。

鳶職の仕事内容一覧

一般的に、鳶職の仕事内容は次のように分類されます。

作業内容 作業内容の詳細
足場の組立・解体 建設作業員が安全に作業できる仮設足場を設置・撤去
鉄骨建方 高層ビルや商業施設の鉄骨を組み立て建物の骨組みを形成
重量物の据付・撤去 大型機械や空調設備など重量設備の搬入・設置・解体
橋梁・送電線工事 高所での橋や鉄塔建設、送電線敷設を担当
解体工事の補助 足場を組み、安全に解体作業を進めるための補助
安全管理 ヘルメット・安全帯の着用確認、リスクアセスメント

参考:職業情報提供サイトjob tag「とび

なお、以下のような機材や道具を使用します。

区分 使用機材・道具 主な用途・特徴
大型機械 クレーン 高所や重量物の吊り上げ・搬入
大型機械 デリック 高層建築や大型資材の垂直搬送
大型機械 移動式クレーン 現場内を移動しながら資材を運搬可能
土木建機 ブルドーザー 敷地整地・土砂移動に使用
土木建機 モーターグレーダー 路面を平らに整備
土木建機 トラクター・ショベル 土砂や資材の積み込み作業
土木建機 パワーショベル 掘削や基礎工事で活躍
工具 かなづち・のこぎり等の手動工具 木材・金属の加工や組立
工具 ドリルなどの電動工具 ボルト固定や穴あけなど精密作業
安全装備 ヘルメット 落下物から頭部を保護
安全装備 ゴーグル 粉じん・火花から目を保護
安全装備 グローブ 手の滑り防止・切創防止
安全装備 安全靴 足の踏み抜き事故・重量物落下から保護

鳶職の現場での1日のスケジュール(朝礼〜解体作業まで)

鳶職の、一般的な平日のスケジュールを整理しました(夏場を想定した目安です)。

時間帯 作業内容 ポイント
7:30〜8:00 朝礼・KY(危険予知)ミーティング 当日の作業計画、安全確認、役割分担を実施
8:00〜10:00 足場の組立・安全確認 資材搬入後、足場を組み上げ、水平器で精度を確認
10:00〜10:30 小休憩 水分補給・熱中症対策を徹底
10:30〜12:00 鉄骨建方・重量物の据付 玉掛け作業やクレーン操作と連携しながら骨組みを組立
12:00〜13:00 昼休憩 栄養補給と疲労回復の時間
13:00〜15:00 ビル・送電線・橋梁など高所作業 ハーネス・安全帯を使用し、高所での精密作業
15:00〜15:30 午後休憩 体調管理を再確認
15:30〜17:00 解体作業・片付け 足場の一部解体、現場清掃、資材整理
17:00〜17:30 終礼・翌日の準備 作業報告、安全チェックリスト確認

安全第一で業務をするため、まずKYミーティングを実施します。また体調管理を徹底する目的で、休憩時間を多く確保するのが特徴です。

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このような対策の効果もあり、徐々に建設業界全体の死傷災害の件数も減少傾向にあります。

このような対策の効果もあり、徐々に建設業界全体の死傷災害の件数も減少傾向にあります。

出典:厚生労働省(大阪労働局)「令和6年版 労働災害の現況と死亡災害事例

鳶職に必要な資格とスキル

鳶職は高所作業や重量物の取り扱いが多いため、資格やスキルがなければ現場での活躍は難しい職種です。以下に、主な必要資格を整理しました。

資格名 概要
足場の組立等作業主任者 足場組立作業を指揮・監督するための必須資格
玉掛け技能講習
(各自治体や企業で実施)
クレーン作業で資材を吊り上げるために必要
フルハーネス型安全帯特別教育 高所作業時の墜落防止に必須
移動式クレーン運転士 移動式クレーンを操作する資格
フォークリフト運転技能講習
(各自治体や企業で実施)
資材や重量物を搬入・積込む際に必要

鳶職人が資格を持っているかどうかで、安全性と作業スピードが変わります。資格と経験を兼ね備えた鳶職は、現場全体の安心感につながります。

鳶職の年収・給料は?金持ちになれる?

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、とび関連業種の平均年収は以下の通りです。

経験年数 平均年収
~19歳 約252.2万円
20~24歳 約310.8万円
25~29歳 約365.0万円
30~34歳 約518.4万円
35~39歳 約480.0万円
40~44歳 約522.5万円
45~49歳 約727.7万円
50~54歳 約544.4万円
55~59歳 約574.4万円

資格と経験を積めば年収500万円以上、独立すれば1,000万円超も可能です。ただし安定収入には資格・管理スキル・経営力が欠かせません。

「鳶職=ヤンキー」は本当?印象と実態のギャップ

以前まで、鳶職は「怖い」「ヤンキーが多い」と見られがちでしたが、現在は安全管理や資格制度が徹底され、印象と実態に大きな差があります。

以下に、現在の鳶職の実態を整理しました。

  • 資格保有率が向上している(勤勉性が増している)
  • 女性や外国人労働者が増加している(現場の雰囲気が大きく変化している)
  • 安全第一の職場文化ができあがっている
  • 施工管理アプリが普及し、ハイテク化が進んでいる

上記からわかるように、「鳶職=ヤンキー」という印象は過去のものです。今では安全意識と資格制度に支えられたプロ集団として、社会からの信頼も高まっています。

鳶職は『怖い』『ヤンキーが多い』と見られがちでしたが、現在は安全管理や資格制度が徹底され、印象と実態に大きな差があります。

現場管理に悩んだら施工管理アプリで効率化しよう

鳶職は高所作業や重量物の据付などリスクの高い仕事を担っているため、現場管理の質が安全と効率を左右します。

しかし現場では、「作業進捗が見えにくい」「安全確認が属人的」「情報共有が遅れる」といった課題があるのが現状です。そこで注目されているのが、施工管理アプリとなります。

たとえばミライ工事管理は、スマホにインストールするだけで進捗状況の共有やチャット、資料や写真のクラウド管理・共有が可能です。関係者(施主や協力会社)とのチャット連携にも対応できるため、管理職や鳶職との連携性を高めたいなら、まずは無料プランから利用してみてはいかがでしょうか。

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