外壁工事現場管理 外壁工事とは?施工管理初心者のための基本ガイド|工法・手順・費用・資格まで徹底解説 2025年9月4日 この記事をシェアする 外壁工事は、建物の寿命を延ばし、美観や断熱・防水性能を保つために欠かせない工事のひとつです。 初めて施工管理に携わる方は、工法・費用・資格・住民対応の基礎を押さえることが欠かせません。 そこでこの記事では、外壁工事の基本知識、代表的な3工法(塗装・張り替え・カバー工法)、費用感、工程、トラブル対応までわかりやすく解説します。 外壁工事の現場作業を効率化したいなら、ミライ工事管理アプリ 外壁工事とは?新人が知っておくべき基本知識 外壁工事とは、建物の外部にある壁面部分を対象に、次のような目的で行う工事全般を指します。 劣化の補修 機能改善 見た目の刷新 住宅やアパート、マンション、商業ビルなど建築物すべてが対象であり、防水性・断熱性・耐久性・遮音性の確保といった重要な役割を担っています。 ちなみに外壁工事とよく混同されやすいのが「外装工事」というキーワードです。外壁工事は外装工事の一部で、外装工事には以下のような工事が含まれます。 工事名 内容 外壁工事 外壁塗装、張り替え、カバー工法など 屋根工事 屋根の塗装・葺き替え 雨樋工事 雨樋の交換・補修 ベランダ・バルコニー工事 防水加工、床材交換など サッシ・窓まわり コーキング打ち直し、アルミ部品交換など なお、国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、外壁工事を含む建物全体の工事は、概ね12〜15年ピッチで実施されています。国土交通省はもちろん、住宅金融支援機構などでも上記の頻度での修繕が推奨されています。 外壁工事の主な工法|塗装・張り替え・カバー工法 外壁工事は、大きく分けて「塗装工事」「張り替え工事」「カバー工法(重ね張り)」の3種類があります。 【工法1】外壁塗装工事|下地処理〜上塗り 外壁塗装工事は、外壁の表面に塗料を塗布する工法です。主に、次の手順で工事を進めます。 足場設置 高圧洗浄 下地補修 下塗り 中塗り・上塗り 完了検査 見た目の改善はもちろん、防水性や耐候性が向上し、ひび割れやチョーキング(粉ふき)といった劣化を防止できます。 コストを抑えながら建物寿命を延ばすことが可能です。概ね10〜15年ごとのメンテナンスとして推奨されています。 【工法2】外壁張り替え工事|既存撤去+新規サイディング 外壁張り替え工事は、既存の外壁材を撤去し、新しい外壁材(主にサイディングボード)を張り直す工法です。以下に、施工手順を整理しました。 足場・養生設置 既存外壁の撤去 下地点検・補修 新規外壁材の施工 仕上げ処理 なお、工事をする際には外壁材の下にある防水シートや胴縁なども点検・改修できます。見えない部分の劣化に対応しやすい工法であることから、構造自体に劣化がある場合や断熱改修を伴うリフォームに有効です。 【工法3】カバー工法|古い外壁を残して重ね貼り カバー工法は、既存の外壁を撤去せず、上から新しい外壁材を重ね貼りする「二重外壁」の工法です。施工手順は次の通りです。 足場・養生 下地確認 下地金具の設置 外壁材重ね貼り コーキング・仕上げ 断熱材付きの金属サイディングで断熱性が向上し、外壁を撤去しないため産廃コストを削減可能です。工期も短く、費用対効果に優れます。 外壁工事の現場作業を効率化したいなら、ミライ工事管理アプリ 外壁工事の一般的な流れ 外壁工事は、一般的に次の流れで進めていきます。(戸建て・マンション共通) 工程 内容と目的 【1】調査・診断 目視や打診、赤外線調査などで劣化状態を確認 【2】工事計画・見積 工法・使用材料・施工範囲・スケジュールの確定 【3】足場設置・養生 作業安全の確保と、飛散防止(防音・防塵対策含む) 【4】下地処理 ひび割れ補修・シーリング打ち替え 【5】本工事 塗装・張り替え・カバーなど選択された工法を実施 【6】検査・完了報告 施工箇所の最終確認・写真付き報告・近隣対応など ただし、建物の規模感や施工範囲によっては、外壁工事の所要期間が変化します。次の期間が目安です。 建物種別 工事期間の目安 戸建て住宅 約2〜3週間 (14〜21日程度) マンション 約1〜3ヶ月 (30〜90日以上) また、マンションといった集合住宅の場合には、住民説明会・工事掲示板・日程表の配布が必須になるほか、共用廊下や階段の安全管理が必要です。さらに工期が長期におよぶため、工程管理の難易度が高くなる点に注意しましょう。 外壁工事にかかる費用の目安 外壁工事における費用は、工法・施工面積・外壁材の種類・劣化の状態・足場の有無などによって大きく異なります。以下に、一般的な外壁工事の費用相場(目安)を整理しました。 工法 坪単価の目安(税込) 特徴・内容 外壁塗装工事 約6,000〜10,000円/坪 下地補修、シーリング、3回塗り仕上げ 外壁張り替え工事 約15,000〜25,000円/坪 既存外壁の撤去+サイディング新設+防水処理 カバー工法 約12,000〜20,000円/坪 既存外壁の上から重ね貼り。撤去費が抑えられる なお、価格差が生まれる理由は次の通りです。 使用する材料のグレード (フッ素塗料、遮熱塗料、金属サイディングなど) 劣化状況による補修範囲の違い (下地の腐食、モルタルの剥離) 足場設置の難易度と面積 外壁面の複雑さ (凹凸・窓数) 施工地域と人件費の違い(都市部は高め) 施工管理者としては「なぜこの金額になるのか」を住民や施主に説明できるように、見積書を一式表記にせず、詳しい内訳を掲載することが重要です。 外壁工事でよくあるトラブルと対応策 外壁工事は、騒音・振動・粉塵によるクレームが起きやすい工事です。 ここでは、特にトラブル頻度が高い「騒音」「振動」による苦情を未然に防ぐための現場マネジメントのコツと対策例を紹介します。 騒音で「うるさい」と言われない工夫 音に関する騒音トラブルは、対象建物の住人はもちろん、近隣住民に精神的なストレスを与えてしまうため、以下の方法で抑える必要があります。 対策項目 内容 作業時間の調整 ・朝9時〜夕方17時までに限定する ・早朝・日没後の音出し作業を禁止する 工事前の掲示 ・近隣住戸・掲示板・ポスティングで作業予定と騒音予告を行う 騒音軽減機器の選定 ・サイレンサー付きの高圧洗浄機や低騒音コンプレッサーを使用する クレーム窓口の設置 ・緊急連絡先・担当者名を周知しておき、連絡を迅速に対応する 特に、高圧洗浄機・サンダー・ハンマードリルといった「80dB以上の音を出す機材」は、人の会話やテレビ視聴に支障を与えるレベルです。そのため、外壁工事中は音を出す作業の「時間帯」と「告知方法」に注意しましょう。 振動で「クレーム」を受けないコツ 「壁を叩いてるような音がする」「家が揺れた」など、振動由来のクレームは心理的な不快感を与えるため、次のような考慮が必要です。 ビフォーアフター写真を保存しておく (工事前に室内クラックなどの状態を撮影) 振動軽減工具を使用する (エンジン式ではなく電動工具へ) 作業時間を分散する (連続使用を避け、10分単位でインターバル) 住戸ごとに説明資料を配布する (施工方法・振動の原因・対策内容を明記) 特に、下地処理やサイディング(既存の外壁)の撤去作業では、振動が構造体に伝わりやすく、壁紙のひび割れなどにつながる場合もあります。また、共振・揺れの感じ方には個人差があるため、施工前の建物状態の確認と説明が欠かせません。 外壁工事で必要な許可|建設業許可・高所作業・道路占用 外壁工事を安全に実施するためには、複数の法令にもとづいた次の「許可」「届出」などが必要です。(以下参照) 建設業許可(国土交通省管轄) 労働安全衛生法令における墜落防止措置と安全帯の使用に係る主な規定(厚生労働省管轄) 道路占用許可(道路法) 許可の確認は、事故や通報があった際に初めて問題になります。無許可なら事業者責任を問われることもあるので注意しましょう。 施工管理者は、現場の工事内容に応じてどの許可が必要になるかを判断し、抜け漏れのない手続きを行いましょう。 外壁工事で必要な資格|建築施工管理技士・足場の組立て 外壁工事では、安全確保のために法令で資格や講習が義務付けられる作業もあります。工事内容によっては、次の資格が必要です。 建築施工管理技士(1級・2級) 足場の組立て等作業主任者(工事に足場を用いる場合) 有機溶剤作業主任者(塗装工程で有機溶剤を扱う場合) 高所作業車運転技能講習(車両系の高所作業を行う場合) 資格があるかどうかで、現場の信頼性が変わります。資格が足りない場合には、外注で対応するのが良いでしょう。 外壁工事は施工管理アプリ「ミライ工事管理」で報告業務を効率化しよう 外壁工事は、工法の選定・近隣対応・安全管理・工程進行・写真報告など、現場管理者に求められる業務が多岐にわたります。 そのなかでも、報告業務や工程管理の効率化は、トラブル防止や顧客・職人との信頼構築にも直結します。 ミライ工事管理は、スマホに入れるだけで調査データや図面をクラウドで管理・共有が可能です。関係者(施主や協力会社)とのチャット連携も可能となるため、現場作業を効率化したいなら、まずは無料プランから利用してみてはいかがでしょうか。 ミライ工事管理の公式サイトはこちら この記事をシェアする
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